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共感覚（シナスタジア）とは、文字や音、時間などの特定の刺激に対し、本来関係ない別の感覚（色、味、形など）が自動的・不随意的に引き起こされる現象で、「文字に色が見える（色字）」、「音に色を感じる（色聴）」などが代表的です。生まれつきの脳の神経回路の結びつきが独特なために起こるとされ、病気や障害ではなく、豊かな感覚体験をもたらす一方で、混乱を招くこともあり、世界中で研究が進められています。
主な特徴と例
文字・数字に色が見える（色字・数字色）: 「あ」は赤、「1」は白、など文字や数字が特定の色として感じられます。
音に色が見える（色聴）: 楽器の音や人の声、サイレンの音などに色や形が伴って見えます。
味や香りに形を感じる: 特定の食べ物の味に形や感触を、香りに色や形を感じるケースもあります。
月日・曜日に形がある: 1月から12月が楕円状に並んでいるように感じるなど、時間概念に空間的な形を感じることもあります。
文字の人格化: 文字や数字に個性（性格）を感じるタイプもあります。
割合と背景
人口の数%程度と言われることが多く、23人に1人という説もありますが、定義の曖昧さから正確な割合は不明です。
生まれつきの脳の構造が関係していると考えられ、後天的に得られるケースは稀です。
脳内の異なる感覚処理領域間の神経結合が過剰であることや、機能的な違いが原因とされています。
共感覚者の体験
共感覚を持つ人にとっては、それが当たり前の感覚であり、比喩や連想とは異なる現実感のある体験です。
記憶力向上に役立つ場合（色で覚える）もあれば、色の配列が美しくないと混乱する（不協和音）など、生活への影響は人それぞれです。
自分の感覚を「不思議なこと」と捉え、肯定的に受け入れている人も多くいます。
疾患との関連
病気や障害ではありませんが、稀に強い不快感（不安や混乱）を感じる人もいます。
「共通感覚（common sense）」という哲学用語とは異なる概念です。