絵なら割と意気揚々と見せびらかせるんだけど、小説は見せるの普通に恥ずかしいんだよな

深さ・混沌・非効率な楽しさの具体例
① 深さ（意味が過剰に生まれる体験）
特徴：正解や結論がなく、解釈が増え続ける。回収不能だが、長く残る。
* 夜中に誰かと、結論の出ない話を延々とする （答えは出ないが、その人の人生観だけが深く刻まれる）
* 読み終えたあと、数日間思考が止まる本 （役に立たないが、世界の見え方が変わる）
* 何年も前の会話を、突然思い出して意味が変わる瞬間
→ 期待値計算不能だが、人格の層が増える。

② 混沌（制御不能・予測不能な体験）
特徴：計画どおりに進まず、その場で判断が更新され続ける。
* 行き先を決めずに旅に出て、偶然の出会いで予定が崩壊する
* 安全圏を出た発言をして、場の空気が一瞬凍る
* 想定外の感情（怒り・嫉妬・喜び）に自分が揺さぶられる
→ リスクがある代わりに、強い実在感が生まれる。

③ 非効率な楽しさ（コスパ最悪だが忘れられない）
特徴：時間もエネルギーも無駄が多く、再現性がない。
* 何時間もかけて料理して、5分で食べ終わる
* 好きな人の一言で、一日中集中力を失う
* もう会わないかもしれない人と、妙に深く話す
→ 費用対効果はゼロだが、記憶定着率は異常に高い。

④ 恋愛文脈での典型例
* 安定を壊すと分かっていながら惹かれる
* 理屈では不適合だが、感情が勝つ
* 進むほど失う可能性が増えるのに、やめられない
→ 期待値最大化モデルでは即除外されるが、 人生の物語としては核心になりやすい。

⑤ 仕事・人生全体での例
* キャリア上は遠回りだが、人格的には決定打になる経験
* 評価されないが、後年すべての判断基準になる失敗
* その場では意味不明だが、後で伏線回収される出来事

対照：期待値最大化型が好むもの
* 再現性が高い
* 成果が数値化できる
* 感情のブレが少ない
* 安全に成功できる
→ 楽だが、物語が薄くなりやすい。

総括
* 深さ＝意味が過剰に残る
* 混沌＝制御を失う代わりに実在感が増す
* 非効率＝回収不能だが人生を濃くする

揺れを知らない人生は整っているが、 揺れを知った人生は忘れにくい。

どちらが正しいかではない。 どちらを「面白い」と感じてしまう人間かの違い。