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やまじゅん
AIの進化に対して、「人間の創造性が奪われる」「AIには魂がない」という声を聞く。
しかし私は、この議論には根本的な勘違いがあると考えている。AIが脅かしているものは、本当に「クリエイティブ」なのか。
Webサイトのバナー、プレゼン資料の挿絵、SNS用のイラスト。これらは芸術ではなく産業デザインだ。誰かの役に立つために存在する。私はデザイナーとして、このことを学んできた。デザインの本質は、誰かの困りごとやニーズに応えることだ。
プラスチックの器を思い浮かべてほしい。伝統的陶器と比べれば「魂がない」かもしれない。しかしキャンプ場で、保育園で、避難所で、プラスチックは確かに役に立っている。そこで陶器の魂を語っても意味がない。
クリエイターが「AIには魂がない」と言うとき、彼らは陶芸家のつもりでいる。しかし市場で提供してきたものの多くは、プラスチックの器だったのではないか。
より深い勘違いがある。
依頼者が「素敵ですね」と言うとき、それは「あなたの表現に感動した」ではなく「役に立ちました」という意味だ。しかし多くのクリエイターは、前者として受け取ってきた。
AIの登場が、この誤解を壊しつつある。依頼者がAI生成物で満足するとき、露わになるのは「最初から求められていたのは成果物であって、あなたではなかった」という事実だ。
しかも、この「自己表現」という自己認識が搾取を生んできた。好きでやっているのだから安くてもいい、やりがいがあるでしょう、と。
自分を「表現者」と定義しているから、不当に安い報酬を受け入れてしまう。
これからどうなるか。
創作を続けることは自由だ。しかし仕事として成立するかは、届ける相手を見ているかで決まる。
逆説的だが、対価を度外視して高みを目指す人だけが「替えのきかない存在」になりうる。伝統工芸のように。
一方、自己表現を主張しながら対価も求め、届ける相手は見ない。この中途半端さが最も苦しくなる。
私がAIに肯定的なのは、冷淡だからではない。
クリエイティブとは誰かのためにある、と捉えているからだ。
それが「AIによって誰かのた問題を解決できるならば」まったく問題ないのだ。
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