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こ〜ちゃん🌱
十二月の空気は、静かに季節の重みを増していく。
ハイエースの横に立ちながら、こ〜ちゃんはそっと息を吐いた。
今年もまた、冬支度の季節がやってきた。
ジャッキを操作して車を持ち上げ、重たいタイヤを慎重に扱う。
ゴムの匂い、金属の手触り、冷たい冬の風。
その全てが、毎年変わらず訪れる儀式のようだった。
工具箱を開けると、使い込まれた赤いソケットレンチのセットが目に入る。
他の工具は、自分が大人になってから揃えたものばかり。
だが、そのセットだけは違う。
――30年以上前。中学を卒業する頃、父が手渡してくれたものだ。
DIYが大好きだった父は、家族のために いつも黙々と作業していた。
棚を直すときも、庭の柵を作るときも、そこに言葉はほとんどなかった。
けれど、その背中はいつだって、優しさそのものだった。
「これからはお前が使え。」
そう言って渡された日の父の手は、油に汚れ、温かかった。
こ〜ちゃんは、無意識にそのソケットのパーツをそっと手に取る。
タイヤ交換の作業で使うのは、その小さなパーツただひとつ。
たぶん、他の工具を使っても作業はできる。
けれど――
これはただの金属ではない。
父の想いが詰まった、バトンリレーの証なのだ。
トルクレンチを握り、ナットをひとつずつ締めていく。
慎重に、確実に。
――カチッ。
乾いた音に、父の「大事なのは最後の確認だぞ」という声が重なる気がする。
一周目、二周目、そして走行後に三度目。
ニュースでタイヤ脱落事故を見るたび、胸の奥に冷たい思いが走る。
だからこそ、どんなに骨が折れても、気を抜かない。
家族を守るために。
それが、父から受け継いだ優しさの形なのかもしれない。
ハイエースに続いて、義理の娘が乗るアルファードのタイヤも交換する。
重いタイヤを持ち上げる肩に、父の温もりが宿るようだった。
すべてが終わったとき、こ〜ちゃんはふと空を見上げる。
冬の青空が、透き通った光のように広がっていた。
きっと父は今、天国で笑っている。
赤いソケットレンチを通して、優しさのバトンは確かに渡されたのだ。
――そして来年の冬もまた、
私はこの小さなパーツを握りしめるのだろう。
父から私へ。
私から、家族へ。
優しさのバトンリレーは、これからも途切れることなく続いていく。









コメント
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ミィーユ
回答数 32483>>
私の事は
お姫と呼んでくださいね✨

ゆづ

でんたろう
回答数 41>>
最強の常在菌付いてると思います。
おにぎりにも🍙
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なかも

さきえ
作業してたら汗かきそう
今日まで半袖だったな。←

鰆

ななみ
嘱託(属託?)で働いてる
もちろん熟年夫婦
別にベタベタするだけが愛情じゃないと思うし
逆に気持ち悪いwww
人間愛、家族愛でええんちゃうん
熟年夫婦なんてw
#あさイチ

ぱんこ

ハピネ

しゅる

ゆうた

アキ

酔いど
完全復活とまではいかんけどきょうはいける❕
やったるど❕❕❕(震
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ミニ
おはようございます[照れる] 素敵なバトンを受け取ったんですね。物も心も。 空から笑顔で見守る姿が見えるようでした[照れる]
がっちゃん
こーちゃん家の車庫は趣味の道具でいっぱいですね[大笑い] 祖父が自転車の職人で叔父バイクや🚗の整備士だったので、自宅一階は作業場になっていました。 今思えば大きな設備です。母は洋裁学校に通って子供の頃私達の服は多くが手作りでした。 ものづくりのスキルは一生物の宝として身につけておいて欲しかったみたいです。それが本人を助けることになるから。 こーちゃんのお父さんもきっとそんな思いがあったでしょうね。 子供にあげられるのは自立できる力をつけるお手伝いをすることだけ。
うさぎさん
お疲れ様でした[ほっとする] 素敵なエピソード[照れる]なんだか男の人っていいなって思っちゃった[照れる] 私も昨日、父との思い出を巡らせていて、私が男の子だったら、もっと父はいろんなこと教えたかっだだろうなぁって[照れる]
愛礼🍀めいる🍀.*
おはようございます こ〜ちゃん 素敵なバトンリレー 良き言葉です こ〜ちゃんの優しさも お父様から受け継がれたものなのかも知れませんね 次はきっと お孫ちゃんが受け取ってくれる🍀.* いつか その姿を見てみたいと思いました[照れる] お空は 果てしなく みんなを優しく包んでくれますね🍀*゜
マミ
おはようございます✨⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝✨ わぁ大好きなお父様からの受け継いだものですね✨ 受け継いで家族を守る為に気を抜いてはいけない大切な行為✨ 優しいバトンリレーですね(*^^*)