人は生まれて生きて死ぬ。われわれは何も持たずに生まれ何も持たずに死ぬ。生きて何か得られるものがあるとか何か功徳があるとかと思っている世間の人にはとても信じられない。何かあるはずだと思う。しかし仏法は何にもならないことをただするだけだと獅子が吼えれば百獣はとても信じられない。二乗、縁覚も威厳を失ってしまう。確かに思いは我が身可愛いさで一杯だし敵は憎い。しかしこのいのちが果てるときには我が身可愛いさも敵憎さもない。もともとすべては頭の思いという夢にすぎないのだから。