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アッチャー
1/5 再会と出会い
蒸し暑い夜が始まろうとしていた。排気ガスと人の息の混った生暖かい風が吹く那覇市の国際通りから、細い脇道に入って10分ほど歩いたところに約束の居酒屋はあった。およそ観光客目当てとは思えない庶民的な居酒屋だ。紺色の暖簾をくぐって店に入ると、まっすぐ奥へいったテーブル席に待ち合わせの相手がいた。二人の女性が中ジョッキのオリオン生ビールを飲みながらおしゃべりに興じている。近づく圭司に気づいて、満面の笑顔を見せた。
「お久しぶり!」
「はじめまして!」
二人は姉妹だった。姉の依子は圭司と同じ大学院の研究室の2年先輩で、妹の淳子は圭司と同い年の24歳になる。
友達のように仲の良い姉妹だと聞いていたが、一見すると姉妹には見えなかった。一重瞼で切れ長の目をした、長くない黒髪の依子と対照的に、淳子は輪郭のはっきりした二重瞼の大きな目で、栗色に染められた長いストレートヘアを頭頂から左右に分けていた。うつむいた角度で見える時のふたりの面影がそっくりだった。
圭司と淳子が初対面だからといって緊張感はなく、三人はすぐに打ち解けた。
この日の圭司の役割は運転手だった。
大学院を出て医療機器メーカーに就職した依子が、社会人一年目の夏季休暇を遊ぶ場所として、学生生活を送った沖縄を選んだ。音楽教師になりたての淳子も、短い夏休みを利用して沖縄に遊びに来ていた。そして最後の夜に、それぞれの同行者と別れて姉妹は合流したのだ。
お互いの自己紹介や簡単な近況報告をしあって、三人は居酒屋を出た。向かうは車で1時間ほど北に走った場所にあるペンションだ。姉妹はそこで一泊し、朝の海水浴を楽しんで帰途につくという計画らしい。
ところが、依子が急に予定を変更した。都合が合わず会えないはずだった現地の友達と会えることになったため、その友達と約束した場所で彼女は圭司の車を降りた。ペンションへは、友達に送ってもらって後から行くという。
(つづく)
©️2024九竜なな也

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めっちゃ酔ってる感じしないし酩酊もしてないのマジで強いんだなー笑。
小瀧さんとあんりちゃんのハシゴ旅おもしろかった!!!!!
#笑ってコラえて

☆キラ

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