同窓会で再会した“H”の話⑩｜GRAVITY(グラビティ) SNS

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投稿

金木犀

2022/11/05

【同窓会で再会した“H”の話⑩】

奥にある、パーテーションで囲まれた
半個室の様な場所に通されると

部長さんと、職員の方が2人
そこに入って来た。

“H”は、2人が我々に名刺を渡す前に
「Rが児相に誘拐された」と話し始めた。

そして、捲し立てる様に
これまでの経緯を話し始めた。

あまりにも“H”が興奮状態になり、
話が出来る状態にならなくなって来たので、

私は隣で、捕捉を加えたり
部長さんと職員の方に質問された事を
客観的の視点で、出来るだけ細かく伝えた。

すると、出された返答は

〘今すぐに、お子さんをお引渡しする事は出来ません。〙

との事だった。

理由としては、

〘今、目の前で“母親”である“Hさん”の様子を見て、我々としては“あなた”の冷静さに欠ける言動に因って、子供の今後の生活に悪影響を与える可能性があると判断しました。〙
※実際は、もっと長く話して居た。

と、言って居た。

それを聞いた“H”は、ブチ切れて
座って居たパイプ椅子を投げようとした。

私はそれを必死で抑え、
引き摺る様にして“H”を連れて帰った。

帰る間のタクシーの中でも、
怒りを顕にしてタクシーの運転手さんに暴言を吐いた為、私達は途中で降ろされてしまった。
私達は、徒歩で40分近く掛けて帰る事になった。

家に着く迄の間

“H”は、小さな声でずっと

「………ず」「…………ず」

と、呟いて居た。

私が、『なんて言ってるの？』と訊ねても
反応は無く、
ただずっと「……ず」と、呟いて居た。

そして、“H”の自宅まで着くと

“H”は、私の身体を強く突き飛ばし

「役立たず！！！！！」

と、大声で罵った。

(…え？いま、役立たずって言われた…？)

私は、ショックのあまり
声も出せず、その場に立ち尽くした。

“H”は、私を睨み付けながら

「役立たず！役立たず！」

と、言い続け

自宅のオートロックを解除して

1人、家に帰って行った。

私は、ただただ…

オートロックの扉の前で唖然として

立ち尽くして居た…。

続