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犬の分霊箱

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社会歴史学の人間としてひとつ言っておきたいことがある、昨今における多様性の議論の中で春画を持ち出し、既に多様だったとする人がいるが、これは表面的でバイアスのかかった評価と理解です。

確かに多くの表現が史料として残っていることは疑いようのない事実で性文化としてはおおらかだったとは言えるでしょう。

しかし、ここで重要なのは、春画が描いた多様性が、当時の社会全体を反映したものか、それとも理想化・幻想化したものかという点です。

例えば女性同士が描かれることも多かったが、これは男性による想像によって描かれており、女性の自発的な活動の結果ではないし、さらに春画自体が当時の商業であって、男性のために描かれてきた、という点も無視できないです。

こうした史料がどうやって生まれ、どのような位置づけにあったか、を検討する必要がありますし、なにより、春画によって描かれていないものを見定める必要があります。

例えば被差別民についてはほとんど描かれていません。常に身体は理想化された魅惑的な身体で描かれていますし、何より女性の視点で描かれる性描写は大奥や日記に僅かに残る程度です。

社会学は社会と距離を置き観察する技術でもあります。こうした技術が、春画から多様な表現文化の根底にある、売り物という性質を浮かび上がらせます。

つまり、かつての日本には、一方的な男性の商品化の上に多様性があるわけで、今求められている多様な表現とは、様々な人たちによって様々な人が様々な形で描かれること、にほかなりません。単に様々なものが描かれているからと言って、社会が多様性を重んじていることにはならないのです。
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