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忠犬ハチ公
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ᗩᒪIᑕᗴ

ハーロック
駅前のイルミネーションが、やけに明るかった。
光っているのに、胸の中は暗い。そういう夜がある。
彼は、手のひらの中でスマホを何度も裏返していた。
三年付き合った彼女。大好きで、そろそろ指輪のサイズを探ろうとしていた。
プロポーズの言葉まで、頭の中で何度も練習していた。
なのに、別れ話。
彼女は泣いていなかった。
謝ってはいた。
でも、決まっていた。
「好きな人ができたの」
その一言は、胸の奥に冷たい釘を打った。
彼は笑った。
笑って、うなずいて、彼女の話を最後まで聞いた。
自分の番になった時、喉の奥が壊れそうだったのに、それでも声を震わせずに言った。
「分かった。…幸せになって」
自分が言った言葉が、自分の耳にいちばん痛かった。
その場で泣かなかった。
駅まで送って、改札の前で、最後に彼女が頭を下げた時も、笑顔を崩さなかった。
背中が見えなくなるまで、ちゃんと手を振った。
そして、ひとりになってから。
誰もいない高架下で。
彼は子どもみたいに泣いた。
声が漏れて、息が詰まって、顔がぐしゃぐしゃになった。
悔しい。
悲しい。
でも憎めない。
憎むという才能が、彼にはなかった。
しゃがみ込んで、両手で顔を覆ったまま、彼は自分に言った。
「俺、何やってんだろ…」
その時だった。
「自分、よう泣けるな。ええことや」
低い声。関西弁。
顔を上げると、黒い服の男が高架下の柱にもたれて立っていた。
黒い服。黒い手袋。影みたいな存在感。
いつからいたのかは分からない。
「……誰ですか」
黒い服の男は肩をすくめた。
「通りすがりや。
けどな、自分。今の泣き方、笑われる泣き方ちゃう」
彼は鼻をすすり、乱暴に袖で涙を拭った。
「情けないですよ。
振られて、笑って別れて。…そのあと一人で泣いて。子どもじゃないのに」
黒い服の男は、少しだけ顔を近づけた。
叱る距離じゃない。
ちゃんと届く距離や。
「情けない? どこがや。
自分、今夜いちばん難しい仕事をやったんやぞ」
「……仕事?」
「せや。
“相手の幸せを優先して、自分の欲を飲み込む”って仕事や。
これ、できる男、想像以上に少ない」
彼は言い返そうとして、言葉が出なかった。
自分が偉いなんて、思えるほど余裕はない。
黒い服の男は言った。
「自分、ほんまは別れたくなかったやろ。
追いすがりたかったやろ。
『俺の方が幸せにできる』って叫びたかったやろ」
彼は小さくうなずいた。
それを言ってしまったら、彼女を困らせる。
困らせたら、最後の優しさが汚れる。
それが分かってしまったから、言えなかった。
黒い服の男が、そこで言い切った。
「自分が今日やったんは、愛の最終形や」
#希望 #自作小説


🎩Alice👑
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