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薬丸岳「天使のナイフ」読了。

薬丸岳さんのデビュー作且つ、2005年江戸川乱歩賞受賞作です。
少年犯罪という重いテーマに、ここまで向き合った作品は他にないかもしれません。とにかく見事のひとことです。これが34歳のときに書き上げたデビュー作とは…いや、驚きますね。きっと当時相当話題になったはず。2015年にはドラマ化もされているようですね。ちょうどその辺りの時期、私事で多忙を極めていたから読書の空白期間なんですよね。この本に出会えて良かったです[照れる]

少年法に守られる犯罪者、法によって怒りのやり場を奪われる被害者、その軋轢から次々生み出される新たな犯罪…畳み掛けるような展開に、目が離せず一気読みでした。
途中までは、単純なミステリーかと思いきや、後半には張り巡らされた伏線の多さに驚かされます。全部、繋がっているんです。犯罪が次の犯罪を生む、次々連鎖していく凄まじい絡み合いに、そこまでやるかと正直愕然としました。文章も読みやすく、とにかく読ませる力のある小説です。

個人的には、被害者側に感情移入しちゃうので、妻を3人の少年に殺された桧山がマスコミに対して「国家が罰を与えないなら、自分の手で犯人を殺してやりたい」と言い放つところでもう、激しく同意しちゃいました。
私だったら「取材なら今じゃなくて、必ず犯人をこの手で葬るから、その時にいらしてください」って言うかな…。桧山に感情移入し過ぎて、特に前半は読み進めるのが遅くなっちゃいました[目が開いている]

一気に読んだけれど、時折深呼吸が必要なお話です。いつもは読みながら動画を見ていたりもする私…でもこの作品は、最後まできちんと向き合わなきゃいけないような気がして、珍しく集中して読み切りました[照れる]

後半になると、犯罪者側の気持ち、贖罪とは？というところにも焦点が当てられ、こちらにもまんまと感情移入…白か黒かみたいなわりと極端な思考に偏りがちな私が、あれ、これは白黒つけるの難しいなと考えさせられ、非常に良かったです。桧山の妻、祥子の話は特に。
全体的に重めなお話だけれど、良い読後感でした[にこやか]

少年犯罪に興味のある方、複雑に絡み合う展開が好きな方に、オススメの一冊です[照れる]

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