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鯨

2025/11/24

今回は物語を書きました。

やけど

温泉に来た。気兼ねなく一人旅。でも、目的は休息とか満喫するために来たわけではない。やけどを治すために来た。この温泉にはある言い伝えがある。

「傷は川治　やけどは滝」

やけどといっても身体に滲みるものではない、でも、触れると熱くて火傷しているみたいに沁みる。

旅館に入るとエントランスは綺麗で良い香りがした。手続きをして部屋に行くと整ったベットに美しい浴衣。今にでもこのベットに飛び込みたい気持ちを飛び脱さないように捕まえる。そして、念願の温泉に向かう。浴衣を脱いで、まずは、身体を洗う。髪を洗って上半身、下半身、お顔は出る直前。まずは、屋内風呂。露天風呂は後で、好きなものは最後に食べる派だから。でも、困ることがある。それは夜ご飯がもうすぐ。露天風呂に時間を回す必要がある。計算は嫌い、小学生の頃からやりたくなかった。でも、学校の授業は正に給食のようなもの。好きな揚げパンが出てくる日があれば嫌いな酢豚のパイそれは栄養とかが考えられているけどが考えられているけど嫌いなものは食べたくない。それを食べなかったのが今となるのかな。

まぁ、お風呂に浸かろう。考えるのはその後。人はやらなきゃいけない事よりやりたい事を優先しちゃうのが自明の理。

ーーーーーー何も、何も考えられない…いや、考えることはできる、でも脳が考えることを拒否しているーーーーーー…今は、この抱擁を享受しよう。…

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「あ、今、何時」

十八時四十五分。夕食の十五分前。私としたことが、うたたねを…。早くしないと。

夕食会場。到着は十九時十分、遅刻だ。まぁ、そんなことはいい、今は今。過去を悔やんでもしかたがない。今は目の前の獲物を捕まえることを考えなけねばならない。ライブキッチンのステーキ、揚げたての天麩羅。鮪や鯉の寿司。全て食べたい。しかし、全て食べるのはあくまで夢。現実で食べられる気はしないし、食べた後の事を考えたくない。二兎追うものは一兎も得ず。欲張ってはいけない。さぁ、狩りの時間だーーーーーー

も、もう無理、入らない…。やはり夢は夢な獣医や十二分目まで食べてしまったけど十いや十二分目まで食べてしまった。とりあえず、部屋に戻ってきたが、少し休息を。しかし、寝てはいけない。食べてすぐ寝ては牛になってしまう。そう考えて眠りにつくのは２分のなかった。

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「あ、今、何時」

二十二時三十分。屋内風呂でのうたたねが功を奏した。お風呂は二十四時まで入ることができる。つまり、露天風呂に入ることができる。我ながら最高な時間の采配だと思う。さぁ善は急げという。
そうして、お風呂について、服を脱ぎ、何度も髪や体を洗うのは表面の角質がはがれそうだからかけ湯で済ませた。決して洗うのがめんどくさいとか洗う時間がもったいないとかいう訳ではない。決して。
そうして露天風呂に向かう。秋の夜、少し冷える。早く浸かりたい。そのまま、私は水の如く流れる足取りで湯に浸かった。彼の暖かい温もりは私を包み込んで離さない。やれやれと思いながら視線を動かすと前には山、上には星々、飴玉を砕いたみたいな散り散りになったみたいな大きなものがあればわからないほど小さいものもある、でもしっかり輝いていた。
「私、ここが好き」
これは浮気をしている訳ではない。でも彼も今、私を包む彼も大好き、それを選べなんてお花から土か水かどちらかを抜くと言っているようなもの選びようがない。まぁ、少なくとも土は今手元にないけど…。
ここに来た所為でまた火傷をしちゃった。早くお風呂から出ないとゆで蛸になってしまう。でも出れない。もう少しいようかな。
そのまま寝てしまい、起された。脱水になったことはここだけの話。

　　　鬼怒川で
　　　火傷治すも
　　　また火傷
　　　殿方好くも
　　　あなた思ふ

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