デパートで待ち合わせまで時間があったから、あるブランドの化粧品を見ていた。

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ノーベル綱吉

2025/11/22

デパートで待ち合わせまで時間があったから、あるブランドの化粧品を見ていた。
ここの店員さんは声を掛ければすぐ来てくれるけど普段グイグイ来ることはない。
なのにこの時はやたらと話しかけてきた。
不思議に思っていたら私の隣におっさんがいるのに気がついた。
その人はホットパンツ姿で昔懐かしいアラレちゃんの帽子をかぶり、店頭の香水をくんくん嗅いでいる。
なんだかこう、積極的に関わり合いたくはないタイプだ。
ふと後ろを見ると、さっきまで居なかった警備員さんの姿があったが近づいてはこない。
どんな格好だろうがデパートに来ていけないことはない。
実際私は前にこのデパートで、上下スウェットのおばちゃんが外商さんを引き連れて歩いているのを見たことがある。
あれは勇ましい光景だった。
このおっさんだってどこぞの富豪かもしれないのだ。
話を戻すが店員さんは一生懸命に私に新商品の説明をしてくれた。
たぶんだけど、他に客がいないのでおっさんの接客をしたくないんだと思う。
そういえば女性店員さんと話がしたいだけで化粧品カウンターでねばる男性もいるらしい。
突如緊張感が芽生えた私は、さして興味のない目元美容液の話をオーバーリアクションで聞いた。
私の額に汗がにじみ始めた頃、ついにおっさんはその場を離れた。
遠ざかるおっさんのやけに筋肉質な生足を、寒くないのかとか、この人もしかして子どもの頃一年中半ズボンで登校して地元の新聞に取り上げられたりしたのかなとか、香水買うの邪魔してたらごめんねとか、複雑な思いで見送ったのである。
#GRAVITY日記 #NOWPLAYING