【夢で見た男の話④ 終】｜金木犀の投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

共感で繋がるSNS

投稿

金木犀

2025/10/28

【夢で見た男の話④ 終】
⬇
⬇
⬇
⬇
⬇

悪夢から目覚めた私は、
ぐったりした身体を無理矢理起こして、
安堵と疲労の溜息を吐きながら『夢でよかった』と呟いた。

ふと、枕元の時計を見ると時刻は“5時”だった。

窓の外を見るとまだ暗く、
眠ってからまだ1時間も経っていなかった事に
再び深い溜息を吐いた私は、
汗ダクの身体が気持ち悪くてシャワーを浴び直す為に部屋を出た。

すると、リビングに母が居た。

驚いて『こんな時間に帰ってきたの！？』と問うと、

「何言ってんの？お昼には帰って来てたよ。あんた全然起きて来ないから放っといた。」
と、言う。

驚いた私が母に『今、何時？』と聞くと
「夕方の“5時”」だと言うので、更に驚いた。

私は約12時間、あの悪夢の中に居た事になる。

呆然としていると、母から
「ちょっと外のポスト見て来て。頼んでた物が届いてるかも知れないから」と言われ、
シャワーを浴びに行くのを中断させられた。

私は、まだ混乱している頭と疲労に満ちた体と、
面倒な用事を頼まれた事にモヤモヤとしながら
玄関を出てポストまで向かうと、ソコには

“隣人の息子”が、ぼーっと立って居た。

その姿を見て、私は目を見開き硬直していると

現実では一度も話したことの無い“男”が、
こちらに気付いて、ほくそ笑みながら口を開いた。

「…あんな夜中に…外に出たら危ないよ…」

その声を聞いた瞬間、
私は本能的に『やばいやばいやばいやばい』と頭の中で繰り返していた。

次の瞬間、“男”の両手が私の首を目掛けて伸びてきた。

私は咄嗟に下に屈み手を避けた。
けれども、“男”は執拗に私の首を掴もうとしていた。

私は先程よりも大きな声で母に助けを求めた。

すると、次の瞬間私はポストに激突していた。

どうやら“男”に蹴られたらしい。

そして、私が地面に倒れ込むと“男”は私の髪を掴み
引き摺って、何処かへ連れて行こうとしていた。

方向を見ると、どうやら“隣人宅”へ連れて行こうとしているようだった。

私は再び暴れながら、母に助けを求める為
叫び声を上げた。

すると、母が大人数人を引き連れて
何かを叫びながら、こちらに走って来る姿が目に入った。

私は、『助かった・・・』と安堵した。

それから“男”は、母を含めた近所の方々に捕まり、警察を呼ばれて連行されて行った。

後日、知らされたのは
“男”は«いたずら目的»で私を隣人宅に連れ去ろうとしていた、という事実だった。

そして、本当は
あの“コンビニからの帰り道”で襲うつもりだった、と。

深夜に私が家を抜け出す所を見た“男”は、
私の後ろをずっと着いてきていて
タイミングを見て、声を掛けようとしていたらしい。

私は、その話を聞いて失神したようで
その後の事は今でも記憶が曖昧な所がある。
色々な難しい事は、中学生の私には難しく
母が動いてくれた。

我が家は、その事件後すぐに引っ越した為
隣人家が、その後どうなったのかは聞かされていない。

あの時に見た夢は、
現実では見えなかった“犯人”を報せる為の

“警告夢”だったのかも知れない。

終

関連する投稿をみつける