小説：『ノルマ・残響』──拡張完結編｜闇バイトダメ・創作家の投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

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闇バイトダメ・創作家

2025/10/18

小説：『ノルマ・残響』──拡張完結編

前作『ノルマ』では、高収入バイトに飛び付いた翔太が、海外の犯罪組織に拉致され、命を奪われるまでの過酷な運命が描かれました。
本作は、その後の物語──残された母の視点から始まります。

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序章：沈黙の半年

「身元不明の焼却遺体が、郊外の廃工場跡から発見された」
そのニュースを見た瞬間、翔太の母・美和は息を呑んだ。
渡航先の国で消息を絶ってから半年。警察も領事館も「捜査は難航している」と繰り返すばかりだった。

だが、美和は諦めなかった。息子が最後に送ってきたメッセージ──
「ごめん。高収入に飛び付いた俺が、間違ってた。」
それは、助けを求める声だった。

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第1章：母の旅路

美和は単身、息子が向かった国へ渡った。
現地のNGO、失踪者支援団体、ジャーナリストたちに協力を求め、少しずつ情報を集めた。

言葉の壁、文化の違い、警察の非協力。
それでも彼女は、息子の痕跡を追い続けた。

「詐欺拠点に監禁されていた若者が脱走した」
「臓器密売ルートに関与する医師が逮捕された」
「焼却された遺体の一部から日本製の腕時計が見つかった」

断片的な証拠が、翔太の存在を浮かび上がらせていく。

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第2章：証言

やがて、美和は一人の元被害者と接触する。
彼はかつて翔太と同じ部屋にいたという。

「翔太は、俺たちの中で一番優しかった。詐欺電話の合間に、家族の話をしてた。母親に謝りたいって。」

彼の証言は、焼却遺体のDNA鑑定と一致した。
翔太は、最後まで抵抗し、声を上げ、そして命を奪われた。

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第3章：帰国と遺骨

美和は、翔太の遺骨を抱いて帰国した。
彼の部屋に残されたノートには、こう書かれていた。

「もし俺が戻れなかったら、誰かに伝えてほしい。
高収入の裏には、命を奪う罠があるって。
俺みたいなバカを、もう出さないでほしい。」

彼の部屋は、出発した日から何も変わっていなかった。
机の上には、未開封の履歴書と、家族写真が置かれていた。

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第4章：語り継ぐ者

美和は、翔太の言葉をもとに講演活動を始めた。
若者たちに、SNSの闇、海外バイトの危険、そして命の尊さを語り続けた。

「楽して稼げる仕事なんて、ない。
命より高い報酬なんて、ない。」

講演の後、涙を流す若者がいた。
「自分も応募しかけてました。翔太さんの話を聞いて、踏みとどまれました。」

翔太の物語は、誰かの未来を守るために生き続けている。

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終章：残響

ある日、美和のもとに一通の手紙が届いた。
それは、かつて翔太と同じ施設にいた青年からだった。

「翔太さんがいなければ、僕は今ここにいません。
彼の言葉が、僕を生かしました。
どうか、彼の声を消さないでください。」

美和はその手紙を、翔太の遺骨のそばにそっと置いた。
そして静かに、こうつぶやいた。

「あなたの声は、ちゃんと届いてるよ。」

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