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もん

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短編小説みたいなの


タイトル:消化


ひとを待っていた。 

建て替えられて新しくできた図書館にある、ずいぶんと家庭的なカフェの椅子に座り、目の前の窓の外を眺めていた。窓ガラス越しには緑豊かな小綺麗な公園の眺めが広がっていて、私の住む市とは違い財源が潤っているなと思ったことがある。
2年前のだいたいこの場所で、私はオレンジジュースを注文してカフェ店員の働く様子を眺めていた。
職場で人間関係のトラブルに遭い、かからなくてもいい負荷がかかりつづけ、ついに仕事に行けなくなってしまった。
仕事にいけなくなった日から数日ほどは、食事もまともに食べず一日の大半を寝て過ごしていた。
それから1週間ほどが経った後は、早く仕事に戻りたいという気持ちから、早く治るかなと毎日外を出歩いていろんな図書館やカフェでぼーっとしていた。

グラスの中のオレンジジュースは溶けた氷で薄くなり、目の前のカフェの店員の働く様を何を思うわけでもなく眺めていた。働くさまに興味を惹かれていたのか、あるいはどこかおもしろみがあったのかもしれない。

ふと視界の中に、カフェの横の通路でUターンをしていく人の姿が映り、たまたま視線がそちら側に流れる。
後ろを向いていって完全に後ろ姿になるまでの、おぼろげでスローがかかった刹那の時間、視認する一瞬手前で完全にうしろ姿になり、そのまま前進し見えなくなっていった。

行けなくなってしまった職場の同僚だと、なぜか思った。

小一時間前にこの図書館の感想を報告していたのだ。

その人が来たのかと思ったが、確実に確認したいとも、追いかけたいと思わなかった。 
なにかを考えてもいたし、なにも考えてもいなかった。
また、会えるとも思っていた。
このときはとても疲れていたんだ。

ほんとのところは元気になって、またあの職場で会いたかった。
数週間で戻れるとも思っていたし、もう戻れないなともどこかで思っていた。
あの日常に、どうしようもなく戻りたかった。

月日が経ってこの図書館内のカフェにきて来てみると、配置少しが変わっていた。
あの時座っていた椅子とテーブルの空間は、通路になっていた。

このカフェの別の椅子に座り、人を待っていた。
ここのクラフトジンジャーエールがいたく気に入り、仕事終わりに寄り道してたまに来ていた。 

ロイヤルミルクティーが入ったグラスがテーブルの上で結露している。
目の前にはガラス越しに芝生や木々が青々と茂っている。
今日は暑さがそれほどでもないのか、芝生の上で寝転んでいる姿もちらほらと見える。

ここまで打ち終えて手元を見ると、飲み終わったグラスの中の氷がほぼ全て溶けていた。
溶けた氷水を飲み干す。
時計を確認すると、待ち合わせている時間まであともう少しという時間だった。

手帳やペン入れをスマートフォンとともにバックにしまい、席をあとにした。
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