母親の味とは違う鉄の匂い。柔らかいが弾力のある生温かい肝に牙が食い込んで、プチと音が立つ。噛めばぐにゃぐにゃと血にも似た塊が舌の上を這う。粉々になりつつある肝を呑み込もうとするが、喉はそれを否定する。酒で流そうとするが、途中からコポッと出てきそうになって、追うように酒を呑む。