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彰(療法家)
「…じっとしてて、レディ」
そう囁いたあなたの声は、夜に咲く花のように静かで甘い。
風呂上がりの後輩男子が、白いバスローブにくるまって、ソファに腰かけている。
濡れたショートボブの髪が、首筋に貼りついて――まるで一輪の露草が、雨に濡れているかのよう。
あなたはそっと立ち上がり、ドライヤーを手に取る。
それは剣ではない。戦うためのものではない。
愛する者の冷えを払い、温もりを届けるための魔法の杖だ。
「熱すぎたら言って。…今日は北風じゃなく、優しい南風だからね」
くすっと笑う後輩
「…お前って、毎回そんなセリフ用意してるの?」
「うん、今日のは春一番バージョン」
小さな笑いが、部屋をあたためる。
ドライヤーのスイッチを入れる。風は柔らかく、まるで夜風が指先になったよう。
後頭部からふんわりと風をあて、指先で髪を持ち上げながら乾かしていく。
濡れていた髪が、次第に光を宿していくのがわかる。
「ふふっ、くすぐったい…」
「ごめんごめん。猫が毛づくろいしてるみたいになってるかも」
「ショートボブって感じね」
「最高です、レディ」
風がサイドをすべり、耳のうしろをなで、額をかすめる。
そのたびに後輩のまつげがふるえ、白い頬がわずかに紅をさす。
最後に、冷風をあてながら、あなたは後輩の髪をひと撫でして整える。
そして、耳の後ろにさらりと髪をかき上げる――まるで画家が最後の一筆を入れるように。
「…うん、今日も可愛いよ。世界で一番」
「そのセリフが、いちばん乾くの早くなるの、知ってた?」
そういって、あなたの肩に寄りかかる。
髪はもう、夜風のように軽く、やさしく、あたたかい。
⸻
fin.
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ヒノキ

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ごに

cotton
けどそれは相手からすると人の意見を聞かず自分の意見を押し通そうとしてる、自分の正しさを証明しようとしているように見えるらしくてどうせ聞き入れてもらえないと相手側が話をやめてしまったり、自分の考えしか認められない人だという認識をされてしまったりする…
個人的には本当に相手の意見を受け入れて取り入れるために自分の中で消化したいから納得できるまで聞いちゃうんだけど、やめた方がいいのかなぁ…どこで諦めるべきなんだろうか…

よっし
おやすみなさい⭐️

モバニ

かんな

堀川

林和希

文学少
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