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ほたる
ビアズリーは原田マハさんの『サロメ』を読んでから好きで、展覧会があれば行きたいと思っていたアーティストの1人でした。萩尾望都先生の『ポーの一族』を読んでいると、空白を黒インクで塗り潰して陰鬱さを演出する表現や、点描によるレースや霧を描き、儚さを演出する表現が見られますが、これがビアズリーの影響なのではないかとかねてより考えていたのですが、今回彼の絵を間近で観てより確信に近づきました。インクと紙の表現であそこまで深さと幅を作れるのはすごいですよね。
ビアズリーはカーテンを閉め切って、蝋燭の灯りだけで作業をすることを好んだそうです。部屋にはインクの乾いていないイラストが洗濯物のようにぶら下がり、そのための紐が蜘蛛の巣のように張り巡らされていたとか。急速な近代化に伴い煤煙で1メートル先を見通すことも難しかったという19世紀ロンドン。まるで外の世界を拒絶するかのような陰鬱な創作部屋で、痩せ細った身体を持て余すように丸めながら一心不乱に絵を描き続けるビアズリーの姿は、彼の描いた悪魔のようだと感じました。
#オーブリー・ビアズリー展

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