影は、女だった。長い尾を振っている。天を指して立つ耳とその尾とが、静かに発光している。遊楽と同じに縦に裂けた瞳に、蒼の炎を宿している。「……あたしの男に、手ぇ、出すんじゃねえ」ぷっと爪の残骸を吐き出して、女は、謳うように声を出した。 #自作小説の一節