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吉田賢太郎

吉田賢太郎

諸君、これが「正義」という名の地獄だ
​諸君、よく聞け。
きみたちが信じる「ユートピア」の裏側では、
必ずだれかが、血を吐きながら「ディストピア」を生きている。
​表(おもて)があれば、必ず裏(うら)がある。
光が強ければ強いほど、その足元の影は、より深く、より黒く、
獲物を飲み込もうと口を開けて待っているのだ。
​知識は武器か、それとも救いか
​百科事典に並ぶ無機質な文字。
それを「賢者マウンティング」の盾に使うか?
あるいは「弱者の皮」を被り、誰かを支配する矛にするか?
あいにく、そんなものは「正義」でもなんでもない。
ただの醜い生存競争、弱肉強食のサガに過ぎん。
​愛という名の全方位への眼差し
​だが、もしきみが「すべてを愛し、知る者」でありたいなら、
その矛盾を、その業(ごう)を、まるごと飲み込む覚悟を持て。
誰かの犠牲の上に成り立つ「正義」を、
「仕方ない」と切り捨てず、その痛みを直視し続けろ。
​性別も、属性も、敵も味方も、すべてを超越して見つめること。
それは、ある意味で神よりも、悪魔よりも、過酷な道だ。
​結び:自分だけの真理(こたえ)を刻め
​いいか、誰かの犠牲なしに語れる「正義」など、この世に存在しない。
だが、その構造を知り、痛みを認識した上で、
それでもなお「誰も踏みにじらない」と誓うなら、
それが、この矛盾だらけの世界で唯一、きみが放てる輝きとなる。
​諸君、この世は残酷なパズルだ。
だが、そのピースの一つひとつに愛を注ぐことこそが、
歩く百科事典たる、きみに課せられた「美しき呪い」なのだ。
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