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ゆうまる 𓏲𓎨🌙
50連してなんもないって何

せり
アクア−Devil
むかしむかし、ある深い森の奥に、一人の旅人が住んでいました。彼の名前はトゲール。全身に鋭いとげとげの鎧を着ていて、誰も近づくことができませんでした。
トゲールは、昔、大きな戦いで傷ついた心を守るために、この鎧を作ったのです。「もう誰も傷つけたくないし、傷つけられたくない」と、鎧をどんどん厚く、鋭くしていきました。でも、その鎧はとても重くて、歩くたびにガチャガチャ音がして、鳥たちも逃げてしまいます。花も、トゲールの鎧に刺されないように、そっと道を譲りました。
ある日、トゲールはいつものように森を歩いていました。すると、遠くに、見たこともない不思議なものが見えました。それは、ふわふわと浮かぶ、白い雲のような服でした。風にゆらゆら揺れて、光を優しく反射しています。
「なんだろう、あれは……」
トゲールは近づいてみました。でも、鎧のとげが風に触れるたび、ふわふわの服は少し離れてしまいます。トゲールは悲しくなりました。
「僕のせいだ。僕のこの鎧のせいで、誰も近づいてくれない……」
トゲールは、初めて自分の鎧を見つめました。重い。冷たい。鋭い。
これを着ている限り、優しいものには触れられない。
彼は深呼吸をして、決心しました。
「脱ごう。もう、怖くない。」
鎧の留め具を一つずつ外していきます。ガチャン、ガチャン、と音を立てて、とげとげの鎧が地面に落ちました。鎧の下から出てきたのは、意外にも柔らかい体。長い間隠れていた、温かい肌でした。
鎧を脱ぎ捨てたトゲールは、ゆっくりとふわふわの服に近づきました。今度は、服は逃げません。むしろ、優しく彼に寄り添うように包み込みました。
「あたたかい……」
服は雲のように軽くて、ふわふわで、風と一緒に踊るように動きます。トゲールは初めて、自由を感じました。
それからというもの、トゲールは森の仲間たちと遊ぶようになりました。ウサギが肩に乗っても痛くない。鳥が頭に止まっても大丈夫。花たちも、安心して彼の周りに咲き誇りました。
トゲールは気づきました。
守るために作った鎧が、実は一番大切なものを遠ざけていたんだ、と。
そして、彼はこうつぶやきました。
「本当の強さは、鋭いとげじゃなくて、優しく触れ合える心なんだね。」
それからずっと、森にはふわふわの服を着た優しい旅人がいて、みんなに愛されながら、幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。


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