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あお🫧
@モ! ×あお
「キノコタウン・クロニクル(前編)」
天から1人の人間が落ちてきた。
音もなく地に落ちるなり、巨大なキノコがたちまちヒョっと地面から出た。
そこは、奇しくも農村であり、しかも夜だったので人間が落ちてきたことは誰も知らない。
ただ翌る日に村の中央広場に巨大な銀のキノコが立っていたのだ。
その巨大キノコは5メートル超。村のものは、皆珍しがった。
その優美な外見が噂となり、すぐに近隣にも、その存在が知れ渡たることとなった。
そうして月日は流れ、その「しずま村」はいつしか皆からキノコタウンと呼ばれた。実際、村から町にランクアップする際、キノコタウンに改名した。
キノコタウンはもはや、昔の寂れた農村ではない。
その銀のキノコを一目見ようとする人々でごった返していた。
あるいは旅人に、あるいはお店屋さんに、あるいは教会に、結構な人が止まったり流れて行ったりする活気のある町となったのだ。
キノコタウンで生まれ育ったケンイチ君は、
好奇心旺盛で手のつけられない男の子だった。
『あのキノコはどうしてこんなに大きいのだろう
あのキノコはどうして増えないのだろう?』
彼は、そんなことを日々考えていた。
御神木ならぬ御神キノコとされているが、
構やしない。
すこしだけサンプルを取ってやろう。
ケンイチ君は皆が寝静まった深夜にベットから抜け出し、
ランタンを手に御神キノコの拝殿へと忍び込んだ
町とはいえ、夜の人通りは少ない。
首尾よくキノコの前まで行くと、小声で
「キノコ様、少しかけらをいただきますよ」
と言った。
キノコは何も言わずにランタンの光を反射して、銀色に輝いていた
ケンイチ君は、持っていた刃物でキノコを少し刺した
なかなか刺さらない
すぐ繊維に沿って刺さなきゃダメだと悟った
ケンイチ君はキノコの切れ目を見つけ
一気に刃物の根元が埋まるまで突き刺した
たちまち巨大キノコは飛び上がった。地響きが鳴った。
「痛え痛え」
ケンイチ君は目を丸くしして尻餅をついたまま動けなくなった。
キノコからたくましい人間の男の腕が伸びてきてケンイチの鼻先を指差した。
「なんのつもりだ坊主!」
ケンイチ君は戸惑って、
「あのあのあの、ぼくぼくぼく」
キノコは皮肉たっぷりな口調でケンイチ君の真似をする。
「あのあのあの、ぼくぼくぼく。じゃねえ!」
最後は怒声だった。
ケンイチ君はすっかり肝を潰して黙ってしまった。
一体全体何が起きてるんだ?ケンイチ君は戸惑うばかり。
キノコは渋い声で言った。
「人を刺したらダメだと教わらなかったのか?」
ケンイチ君はしばらく呆気に取られて口をパクパクさせていたが、
唾を飲み込んで喉の通りを良くし、一言反論した。
「あなたはキノコです」
キノコはこれを聞いて怒った。
「バカ!こんな銀色をした5メートル超のキノコがどこにあるもんか」
130センチメートルのケンイチ君は震えながら言った。
「ここに」
「呆れたな、思わず非常ボタンを押して飛び立つところだったぞ」
ケンイチ君はキノコの言っていることが少しもわからなかった。
キノコは急に小声になった。
「いかん、扉の外を見ろ」
見れば光の群れが蛍の兵隊のように近づいてきていた。
キノコは小声のままにケンイチ君に教える。
「地響きに驚いて人が集まってきたんだ」
ケンイチ君は自分が加害者なことも忘れて大声を出した。
「みんな助け、、、。」
最後まで言うのを待たず、巨大キノコはケンイチ君を飲み込んだ。
「ぼくはキノコに食べられたんだ、あるんだなあ天罰って」
『私は浮かぶ キノコの中に そこには何もない 無論明日もない』
ケンイチ君が辞世のポエムを考えていると、体を揺さぶられた。驚いて目を開けると、ジョージクルーニーが目の前にしゃがみ込み、自分を揺さぶっていた。
「ジョージクルーニー!?」
ジョージクルーニーは人差し指を立てて口に添えた。
「静かに」
ケンイチ君は興奮して言った。
「ジョージクルーニーでしょ?」
渋い中年男は、
「違う!それより静かに」
とケンイチ君に注意をした。
***
「ちょ、ちょっと待って……え、ジョージ・クルーニー!? え?何で? なんでよりによってジョージ・クルーニーなん!?」
思考のCPUが煙を上げる。
「いやもうストーリー全部飛んだて。シナリオ崩壊やん」
自分でツッコミながら、自分で笑ってしまう。
「いったんジョージ・クルーニー忘れてええ?扱いにくいねん!怒られそうやしな!」
気づけば、標準語の自分が関西弁でしゃべっていた。
「いや、僕関西人ちゃうねんけどな……w」
混乱のあまり、現実も物語もぐちゃぐちゃだ。
「よし。ストーリーに戻るで。」
一一一
キノコの中には、ケンイチと同じように“好奇心”を抑えきれなかったやつが――ジョーj…ジョー、うん、ジョーのほかにも何人かいた。
その瞬間、キノコがわずかに震え、鈍い光を放った。
「……落ち着け、坊主たち」
低く、渋い声が響く。ジョーが口を開こうとした瞬間、ケンイチが言った。
「ねえ……これって、ただのキノコじゃないんじゃない?」
空気が凍った。キノコの銀色の表面が、ふっと透明になり、中の構造がうっすらと見えた。
無機質な金属の柱、光る球体、微細な配線――。
人間の目にはただの巨大キノコにしか見えなかったものの、内部には明らかに人工的な機械構造があった。
「なんだ……ここ」
ジョーの声も震えた。
「そう……観察装置だ」
キノコの声が低く、だがはっきりと答える。
「この銀色の外殻は、ただの擬態。おまえたちの惑星を観察するためのものだ」
ケンイチの心臓は跳ねた。
「観察……?じゃあ、僕ら、見られてたの?」
「そうだ」
キノコの内部で、微小な光の粒が動き、ケンイチやジョーたちをスキャンしていた。
「おまえたちは好奇心を抑えきれず接触した。だから非常ボタンを押そうとしたが……間に合わなかった」
ケンイチはその言葉の意味を理解するまで、一瞬息を呑んだ。
「……あの銀色のキノコ……中に……宇宙人が?」
「おまえたちの呼ぶところの“宇宙人”というものだ」
銀色の光の向こうで、無数の目ともいえる球体が、静かに動いていた。
ケンイチの脳内CPUがフル稼働する。
「好奇心……触れたら……そっか、僕らが観測対象だったんだ……!」
ジョーも口を押さえ、唾を飲み込む。
「なるほど……非常ボタンは、接触されたら任務を中止するための……安全装置か」
キノコは低く息をつくように、言った。
「これで理解できたな。おまえたちは“未知”に触れた。慎重に扱え。それが人間として生きる最低限の条件だ」
ケンイチは唇を震わせながら、ただ頷くしかなかった。
***
「外部の様子をモニタリングします」
1人の若い女性の声が響いた。その次の瞬間、キノコの内部は透明に変わり、外の景色が映された。外に出されたと思ったケンイチくんが左右を見渡すと、相変わらず奇妙な装置が敷き詰められている。とにかくすごい技術だとケンイチくんは感動した。
モニターに映った1団のメンバーは、ケンイチくんの見知った顔ばかりだった
町長のオスミさん、副町長のシマさん。神主のザキさん。この町を支えるそうそうたるメンバーだった
「町長!助けて」
ケンイチくんが汗を飛び散らせながら叫んだ。隣にいるジョーが、ジョージクルーニーが優しく右手をケンイチくんの頭に乗せた
「あちら側にはこちらの音は聞こえない。だが叫ばれると向こうの言葉が聞き取りにくくなる」
「僕を心配してこんな偉い方々が」
ケンイチくんは感動のあまり涙を流した。
「それはどうかな?」
まるで独り言のような小さい声で、ジョージクルーニーが意味深な言葉を呟いた。
真ん中に居る町長オスミは、
「何か子供の甲高い声が聞こえたようだったが、」
と両隣に声をかけた。
「そうですか?」
副町長シマには感じがない。
「予知夢ならぬ予知音かもな」
と神主ザキは意味不明なことを言った。
「周りに人はいるか?」
町長オスミはどすの利いた声を出した。ケンイチくんは自らの耳を疑った。こんな声を出すのを聞いたのは生まれて初めてだ。なんだかとても怖い感じを覚えて、ジョージクルーニーの方を見た。ジョージクルーニーはまっすぐオスミ達を見たまま視線を逸さなかった。
「そこに居るのはどなたですか?」
シマの優しい声が響いた。ケンイチくんは自分たちが見えているのではないかと考えて、右手を挙げた。しかし、およそ10秒の静寂の後、
「誰もいないようです」
シマはそういい、狐のような細い目が鋭く開いた。
ケンイチくんにはそれも恐ろしく感じた。
「この町も、この、御神キノコのおかげで大きくなりましたね」
掠れた声だった。ザキはそう言うとランタンをキノコへと掲げた。
画面がオレンジ色に光る。ケンイチくんは右手をあげて目を庇った。
すぐにモニターの光は調節され、3人の有力者の顔が暗くなり、ランタンの明かりは目に優しい光となった。
「みんな、、、。このキノコのおかげです。」
ザキが言うとシマが相変わらずの鋭い目つきでこう付け加えた。
「いいことも、悪いこともね」
***
ケンイチくんは、まっすぐにジョージ・クルーニーの目を見てつぶやいた。
「ジョージ?」
「ダイジョブかい? 顔が真っ青だよ」
「あー、ちょ、ちょっと待って! タイム!」
「君、“ジョー”って言うたやんな? 何ジョージで反応してんねんw」
ケンイチは思わず叫ぶ。
「ここまできたら、一回ぶっちゃけさせてもらうけどな!
物語、佳境にさしかかって、これからどうなるん?って時にや!」
ジョーj──いや、ジョーがうんうんと頷く。
「“あおさん続き書いてみる?”やでw 面喰らうわ!」
「う、ん。あお?」
困惑気味にジョーが相槌をうつ。
「もう1人の作者や。普通“巨大銀色キノコ”の続きなんか書けるか?
あおさん、そりゃ頭から湯気出しとったわ。
苦肉の策で“ジョージ・クルーニー”を潰して“ジョー”にしたのに、
返したらまたジョージに戻ってんねん。しかも“企んでるっぽい新キャラ”付きやで。誰やねんw」
「……」
「ま、あおさんな、モ!のファンらしいわ。
こんなんされても、食らいつきたいねんて。負けず嫌いなんやろな」
ケンイチは大きく息を吸って、拳を握る。
「──余談はこれくらいにして、ジョー! 本編戻るで!」
一一一
「ジョー。とりあえず脱出しよう。僕が制御装置を壊してくるから、気を引き付けてて」
ケンイチは、ジョーに小声で伝えた。彼はまっすぐ制御装置に手を伸ばす。
「やめて!」
小さな女の子の声が響いた。
振り返ると、自分と同い年くらいの少女が立っていた。
「君……だれ?」
少女の視線がケンイチに向けられると、キノコの壁がふっと透け、記録映像が映し出された。
小さな男の子を囲む、オスミ、シマ、ザキ。
ナイフが振り下ろされ、血が飛び散る。だがそれは赤ではなく、淡い光を帯びた粒となって宙に舞った。
「何が起きてるの……?」
「……あれは、私の弟」
少女は絞るような声で言った。
「私たちは“神の子”だったの。好奇心旺盛で、禁じられたリンゴの実を食べて……神様に追放された」
「にわかには……信じられない話だな」
「落ちた先で、あの人たちに見つかったの」
少女がくるりと背を向ける。
白い羽根が、微かに光を放った。
「羽……飛べるんだ」
「ええ。でも弟は、翼を折られて……逃げられなかった」
再び映像が切り替わる。羽がもがれ、足が折られる音が響く。ケンイチは顔をゆがめた。
「……ひどい」
少女の声は静かだった。
「私たちの血や涙には治癒力や不老不死の力がある。それを、彼らは……売っていたの」
「キノコタウンが観光で大きくなったのは……表向きだったんだな」
(後編へ続く)

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