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ケモ@ノンデリ民
お詫びに昨日と今日で作った、構想2分、執筆に1日で書いたSSを置いておきますので、お許しくだせぇ。m(_ _)m
『白詰草』
子供の頃から、俺たちはよくこの丘に来ていた。
町の外れにある、よく風の通る場所だ。
夏になると一面に白詰草が咲き、俺たちは夢中で駆けた。誰が一番早く丘にたどり着けるか競い合い、虫を追いかけ、飽きると寝転んで雲を追った。
指に触れる花の柔らかさと、風の匂い。それが、子供の頃の記憶のすべてだった。
あの丘に、今、男がいる。
ずっと一緒に育ち、学び、同じ女を好きになった、気の置けない親友だ。 追いかけっこが始まると、いつも自分の前を走って、夢中で背中を追いかけたものだ。
そんな小さな頃から見慣れた背中を、今も見つめている。
「おう」
「ああ」
背を向けたまま夜風に膝をつき、ひとつひとつ花を摘み取っている。
月明かりが肩に落ち、おろしたての一張羅の袖口に白が揺れた。
「摘んでるのか?」
「妻が好きなんだ」
「妻、ねぇ。まだ早いんじゃないか」
「はは、そうだな。でも、この白が似合うんだ」
「明日が本番だからな」
彼は穏やかに笑った。その笑みは昔と変わらないのに、どこか遠くを見ていた。
俺は草むらに腰を下ろし、黙って空を見上げる。月の周りに薄い雲がかかっていた。
「ああ。あの人が好きだからな、きっと記憶に残るいい式になるさ」
俺は笑ってうなずいた。
風が吹き抜け、束ねられた花がかすかに震えた。
ここから見える景色は昔から変わらない。
俺たちもこの景色と同様に、変わらないままで進んでいくと、信じていた。
明日は大事な親友の門出だ。変わらないままでいられなかった、俺たちの分水嶺。
俺たちの日常が変わる、めでたい日だ。
笑顔で迎えてやらねば失礼というものだろう。
そう覚悟を決めていると、昔から追いかけていた大きな背中が立ち上がった。
「……行くのか」
「ああ」
「まだ夜明け前だぞ」
「せっかちでね。時間を待てないんだ」
「違いない」
「ああ」
彼はそう言って笑った。
その顔は変わらず、あの頃の笑顔と重なった。
泥だらけの手でピースをしていた、あの無邪気な笑顔と。
風が強くなる。
滑走路の方から光が差し、彼の背中を照らした。
その光の中を、彼はゆっくりと歩いていく。
エンジンが唸りを上げ、空気が震え、地が低くうなる。
俺は立ち上がれずに、ただその背を見ていた。
機体が地を蹴った。
風が丘を駆け抜け、俺の手の中の花束を吹き散らした。
シロツメグサが宙を舞い、白い花弁が夜空に溶けていく。
風に乗って、彼の声が聞こえた気がした。
――靖国で会おう――――
朝の光が差し込む。
空には、ひとつの影が小さくなっていった。
その軌跡の先に、白い花がいくつも漂っていた。
やがて、空だけが残った。
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