一番大切にしているのは、祖父が使っていた機械式の懐中時計です。文字盤には細かな傷が無数についていて、それがむしろ美しいと感じます。時間を計るはずの道具なのに、決して正確じゃなくて、たまに気まぐれに針が止まるんです。でもその不完全さが人間らしくて好きなんです。完璧に動き続けるものよりも、少し不器用で、直しながら一緒に年を取れるものに惹かれます。