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キミア
波間に沈む瞬間、彼はもう水を肺に入れはじめていた。重く、冷たく、世界がひっくり返る。海が天になり、空が地になった。現実が音を失い、夢が始まった。
彼は深海にいた。しかし、それはただの海ではなかった。光が届かぬ漆黒の水の底。上下もなく、重力もない。海水は不気味な静けさで彼を包み、音もなく何かが彼の周りを回遊していた。
周囲の暗闇に、突然“目”が開いた。ひとつ、またひとつ。どこか哀しげなその瞳たちは、まるで彼を見つめるように浮かび上がる。瞳の奥には、かつて人間だった何かの記憶が宿っていた。声は聞こえない。ただ、彼の心に直接、震えるような問いが響く。
「なぜ、ここを怖れた?」
彼は震えながら、返答することもできずに浮かんでいた。深海は無ではなかった。ここには意識があった。存在があった。人知を超えた何かが、この闇を支配していた。
ふと足元を見ると、底があった。見えるはずのない深さに、巨大な“顔”が横たわっていた。人とも魚ともつかぬもの。口は裂け、歯が並び、しかし笑っているようにも見えた。
その口がゆっくりと動いた。水を通さずとも、意味が彼に伝わってくる。
「ようこそ、君はようやく自分の中に還ってきた」
彼の恐怖はやがて、懐かしさに変わった。この海、この深さ、この静けさ。彼は昔からここにいたのかもしれない。生まれる前も、夢の中でも、死ぬ瞬間も。
そして彼は、笑った。泡が出るはずもないその夢の中で、最後の笑みを浮かべながら、彼の意識は闇とひとつになった。
彼の遺体は、三日後に沖で引き揚げられた。顔には、不思議なほど穏やかな微笑が浮かんでいたという。
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