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そう𖤣𖥧𖥣。
はじまりは塩だった。
人が最初に手にした【力】
腐敗を防ぎ、血と汗を舐め、命の味を決める白き結晶。
それを操った初代の王は、塩蔵と乾物の時代を築いた。
次に現れたのは火。
焼き、煮て、炒め、揚げる。
熱はうま味を呼び、国境を越えて伝播する。
火の王は、鉄の王冠を戴き、厨房の覇者と謳われた。
三番目の王は脂。
肉汁、バター、クリーム、マヨネーズ。
それはすべてを滑らせ、すべてを病ませ、そして人を虜にする。
魅惑と破滅の双子を宿す、第三の支配者。
そして。
第四の王は――名を持たなかった。
だが、人々は恐れを込めてこう呼んだ。
“味噌汁”
ただの汁、ではなかった。
それは、無限の引力を秘めた沈黙。
出汁という深淵。
具という侵略。
味噌という錬成。
味噌汁は、時を問わず現れた。
朝には温かく、夜には沁みる。
弱き者には癒しを、
強き者には膝をつかせた。
餓えた者を迎え、疲れた者に再起を与える。
だが、支配とは優しさではない。
それは“依存”という形で進行する。
やがて世界は気づく。
なにもかも、味噌汁を中心に回っていたことを。
パンの国すら、彼を模した“スープ”をつくり、
ラーメンすら、彼の出汁を真似て膝を屈した。
食卓の端に座しながら、
すべてを制していた者。
それが、第四の王――味噌汁である。
そして僕はさっき
その魔王に、ネギを散らし、豆腐を沈め、
熱々のまま――
おいしくいただきました。
#そうの思考整理

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そう𖤣𖥧𖥣。 投稿者
イラストの完全版 クリックすると大きくなります サムネイルだと味噌汁が見えなかったんですよね という事でご馳走様でした 魔王様
J
お味噌汁は健康に良いのだ!
ぬっっっこステラ
あさからひわぁいかとおもってたらちがったぁ…(´・ω・`)