母の想い出の地が変わりゆく夜｜GRAVITY(グラビティ) SNS

母の店の夢を見た
一昨年秋に亡くなった母は美容院を営んでいた

ある日の夜、母がかつて美容院を開業していた跡地が居酒屋さんになっていたことを聞いた私は、その居酒屋さんに立ち寄った
ちょっとおしゃれな居酒屋さんに改装されていた母の店
長い階段は三分の一ぐらいが残っていて、店の入口に使われていた　外観の壁と同じベージュホワイト系のペンキを塗られていたが、母の店の階段だということはすぐ分かった
階段の上に控え目なミルキーブラウンぽい色に塗装されたドアがあり、ドアの左側に小さな看板があった
看板のフレームに使われていた木は古木で壁の色と同じ、看板の大きさは縦25㌢横18㌢ぐらいかな、灯りが付いていた
店の名前は凜音
新てん書体で書かれた店名の下には赤いちょっとしたイラストが描かれていた
看板の色も壁の色と同じだった
店のドアを開け店内に入った
暗めの店内で、また階段の続きがあった
無塗装の、母の店の階段そのまま使われていた

空いていた席に座った
奥にはカウンターがあった

よく見渡してみると、シャンプー台のとこの水道は手洗い場として、壁のタイルがそのまま、お客さんが座っていたソファは客席として、奥の着付け部屋はパントリー兼厨房なのかな、として、な感じで残っていた
古い棚、線が切られたダイヤルの電話はインテリアとして置いてあった

私が座った位置は、昔よく外を眺めていた窓があったとこだった

見渡しながら、昔を思い出し自然に涙が流れた

そこで目が覚めかけた

目を開けたら夢が終わってしまいそうで、もう少し母の面影にふれたくて、意識は起きても少しの間は目を閉じたままにしてた

そしたら少しだけ夢の続きを見れた
一緒に行ってた知り合いの質問に答えていた
店の周りの風景を思い浮かべながら

そして目が開いてしまった
夢が終わってしまった

母は夢には１ミリも出てこなかった

でも、母のことを思い出せた夢だった

忘れたくなくて、夢の記録。

会いたかったな、母に。

満月の夜の夢の話。

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