大雪の夜に起きた不思議体験：弟の大学最後の日

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太郎作(たろさく)

2024/02/05

怖くない、ちょっと心霊な話
苦手な人はパスしてね。長いし。

うちの弟が大学4年生で、私がひきこもりだった頃の出来事です。
今日雪が降っていたので思い出しました。

弟には加藤くんという1個下の後輩がいて、よく遊びに来て、イケメンだし、気がきくすごく良い子だったんです。
加藤くんの家は町中華の店で、出前手伝ったりもしてたそうです。
その日も店の真正面のマンションの２階に出前に行ってその帰りに階段の一番上で滑って後頭部を打って即タヒだったそうです。
２階の階段というなかなか気付かれない場所だったのと、両親は出前の後で出掛けたのかと思っていたから数時間気付かなかったとか。

加藤くんのお通夜から帰ってきた弟が私に
「お姉ちゃん、今日は眠れそうもないから、ちょっとビール付き合って」
と言ってきた。

弟の部屋はちょっとしたワンルームマンション位の広さで、母屋からも行けるけど外階段からも上がれる作り。

弟「俺は絶対、幽霊なんか信じない。存在するなら、加藤は絶対姿を見せるはずだから。だから、幽霊なんか信じない。」

その日はかなり寒くて弟は喪服の上にコートを着て出掛けていたんだけど、帰ってきて重ねたまま脱いでハンガーに掛けてありました。

私「来てるんじゃない？見えないけど、来てるんじゃないの？」
弟「見えるはずだ。見えろよ。加藤。出てこいよ。」

その時外階段を上がる音がして、ドアは開かなかったけどフワッと空気が動いたの。

私「加藤くん来たよ。見えないけど」
弟「見えろよ。加藤、頼む」
私「姿は見えなくても来てるんじゃない？」
と言った時に、コートと重ねて脱いでいた弟の喪服の右腕だけがフルフルと揺れ出したの。

私「右袖、見て。加藤くんが揺らしてるんじゃない？」
弟はハンガーにかかってる喪服の右袖をギュッと握ると、
弟「お姉ちゃん、あとは加藤と二人で飲むから、大丈夫。あやすみ、ありがとう」
と泣いていた。

#実話怪談