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アクア−Devil
エルドリア王国の首都、シルヴァリア。
銀色の塔が空を突き、魔法灯が夜を昼のように照らすこの街は、富と魔力が渦巻く場所だった。大理石の通りには、竜の鱗を編んだマントを羽織った貴族や、浮遊する買い物籠を従えた魔術師たちが行き交う。
その中心に、「黄金の果実亭」という巨大な食料品店があった。
店内はまさに夢の倉庫だ。空飛ぶリンゴが棚を回り、歌を歌うチーズが客を誘い、ひと噛みで若返るという蜜桃が山積みになっている。香りだけで腹が膨れるほど豊かで、訪れる者たちはみな財布を重くしていた。
そんな店の軒下に、ショーツィアはいた。
小さなエルフの少女。耳は短く折れ曲がり、種族の誇りである長い耳を失った証だった。ぼろぼろの外套をまとい、裸足で石畳に座る。年齢は十四か十五。瞳だけはまだ、深い森の色を残している。
彼女は今日も考えていた。
――こんなに美味しいものが並んでいる店で買い物できる人たちは、きっとお金をたくさん持っている。
――たくさん持っているなら、ほんの少し、私にくれたって平気なはずだ。
でも、現実は違った。
通りすがりの金持ちたちは、彼女を見ても目を逸らす。
施しをする時、彼らは貧しい農民と変わらない小さな銅貨を一枚、投げ捨てるように置いていく。それすら、気まぐれでしかない。
ショーツィアは決して手を出すだけではなかった。
彼女は必ず、最初にこう言った。
「お仕事、ありませんか?」
小さな声で、でもはっきり。
掃除でも、荷運びでも、魔法の実験台でも、何でもするつもりだった。働く方がずっと好きだった。物乞いなんて、肩身が狭くて嫌でたまらない。
けれど、返事はいつも同じだった。
「仕事? ふん、乞食に仕事などあるものか」
「店の子はもう足りてるよ」
「エルフの落ちこぼれに用はない」
誰も雇ってくれない。
ある冬の夕暮れ。
雪がちらつく中、黄金の果実亭の扉が開いた。出てきたのは、深紅のローブを着た若い魔術師だった。銀の髪に青い瞳。腰には高位の証である星紋の杖。
彼はショーツィアの前で立ち止まった。
「お仕事、ありませんか?」
いつもの台詞を、彼女は反射的に口にした。
魔術師は少し驚いた顔をして、彼女を見下ろした。
「……本気で言ってるのか?」
ショーツィアは頷いた。
「はい。掃除でも、材料集めでも、なんでもします。物乞いより、働きたいんです」
魔術師はしばらく黙って彼女を見つめていた。それから、小さく笑った。
「面白い。名前は?」
「ショーツィアです」
「俺はレーヴァン。高等魔術院の三年生だ。実は、今、助手が一人足りなくて困ってる」
ショーツィアの耳が、ぴくりと動いた。
「助手……ですか?」
「ああ。危険な実験もある。報酬は少ないし、命の保証もない。それでもいいなら、ついて来い」
彼女は迷わなかった。
立ち上がり、ぼろ布で足の汚れを拭うと、レーヴァンの後ろに続いた。
黄金の果実亭の前を通り過ぎる時、ショーツィアはもう一度店内をちらりと見た。
あの眩暈がするほどの豊かさは、もう遠い世界のもののように思えた。
でも、胸の奥に小さな火が灯った。
――働く。
――自分の手で、何かを生み出す。
それだけで十分だった。
シルヴァリアの夜空に、魔法灯が瞬く。
小さなエルフの少女は、初めて、自分の足で歩き始めた。
まだ先は見えない。けれど、もう物乞いではない。
これから始まる物語は、きっと、彼女自身のものだ。

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ルネサンス
今日は、洗濯して寝て、掃除して、ばーたん散歩して🐶夜ジム行く((((っ・ω・)っ
ジム行くのに酒飲むって、プラマイゼロなような気がするけど、ジムも酒も生き甲斐なのでやってます🙋♀️そして、1日のストレス発散をみんなで楽しむが主の方針😊
配信は22時以降に行いたいと思います(*^^*)
おもろい人は23時以降にくるらしいです(๑•̀ㅂ•́)و✧
みんな酒カスゲラ枠🥃配信ぜひお待ちしてます🌟
楽しみましょ😊
ちなみに、聴く配信はカワボ、まったりが好きです(((o(*゚▽゚*)o)))みんなそれぞれだよね♥️
明るく毎日を過ごしましょ💪
でもゲラ枠も聴いてみたいんだが、まだゲラ枠の聞き専側になれるお友達がいないのでもし良いゲラ枠配信あったら聴きたいな👂
と、いうことでお仕事の方もおやすみの方も1日を充実していきましょദ്ദി>ᴗ<)🎀✧

かい

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あんでぃ😼
今日はシンプルに、UNIQLOのニットフリースモックネックとメリノウールカーディガンの合わせで。coenのカーブデニムでバランスをとって。
#ファッション
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