朝、目が覚めたとき、空気はまだ少しだけ昨日の続きを引きずっていた。カーテンの隙間から差し込む光は、何かを強く主張するでもなく、ただ「今日は今日だよ」と静かに告げているようだった。

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ハトムギ

2025/12/30

きょうどんな 1 日だった、 ?

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朝、目が覚めたとき、空気はまだ少しだけ昨日の続きを引きずっていた。カーテンの隙間から差し込む光は、何かを強く主張するでもなく、ただ「今日は今日だよ」と静かに告げているようだった。
コーヒーを淹れ、湯気が立ち上るのを眺めながら、特に理由もなくラジオをつけた。聞き覚えのない曲が流れていて、それはたぶん、今日という一日の性格を決めるために選ばれた音楽だったのだと思う。

外に出ると、街はいつもと同じ顔をしていた。人はそれぞれの目的地に向かい、信号は律儀に色を変え、コンビニの自動ドアは正確なタイミングで開閉した。だけど、よく見ると、誰かの靴紐がほどけていたり、電柱の影が昨日とは少し違う角度で伸びていたりして、世界はほんのわずかにズレていた。そのズレが、今日を今日たらしめていた。

昼は簡単な食事をとった。味は悪くなかったが、記憶に残るほどでもない。ただ、その「特に語ることのない感じ」が妙に心地よかった。人生の大半は、たぶんこういう昼食でできている。

午後、やるべきことをいくつか片づけた。進んだような、何も進んでいないような、不思議な感覚が残った。でもそれでいいのだと思う。すべての一日が明確な意味を持つ必要はない。意味は、あとから追いついてくることもある。

夕方になると、空が少しだけオレンジ色に傾いた。今日という一日は、特別な事件を起こすこともなく、静かに自分の役目を終えようとしていた。
夜、布団に入り、天井を見上げながら考えた。「今日は、ちゃんと今日だったな」と。そう思えたなら、それだけで十分なのかもしれない。

そして世界は、また明日へと回り続ける。

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