「椿武士（つばきもののふ）」とは、花が首のように「ボトッ」と散る様子が武士の首が落ちる姿に似ていると忌避されつつも、戦国武将の筒井順慶ゆかりの「散り椿（ちりつばき）」を指し、奈良の「伝香寺」に名木があるなど、武家文化の中で品種改良が進み愛好された歴史を持つツバキの一種（または、その散り方）を指す言葉です。

共感で繋がるSNS

投稿

臼井優

2025/12/27

「椿武士（つばきもののふ）」とは、花が首のように「ボトッ」と散る様子が武士の首が落ちる姿に似ていると忌避されつつも、戦国武将の筒井順慶ゆかりの「散り椿（ちりつばき）」を指し、奈良の「伝香寺」に名木があるなど、武家文化の中で品種改良が進み愛好された歴史を持つツバキの一種（または、その散り方）を指す言葉です。
「武士」と呼ばれる理由
散り方: サザンカ（山茶花）のように花びらが一枚ずつ散るのに対し、ツバキは花全体が「ぽとり」と落ちる性質があります。
縁起: この「首が落ちる」ような散り方が、武家社会では「切腹」や「首級」を連想させ、不吉とされました。
「散り椿（ちりつばき）」: 奈良の伝香寺（でんこうじ）にある、戦国武将・筒井順慶にまつわる椿が有名で、「武士椿」とも呼ばれます。
武家とツバキの歴史
忌避から愛好へ: 初めは避けられましたが、徳川二代将軍・秀忠がツバキを愛好し、各地から名花を集めさせたことで、武家や町民の間でツバキが流行しました。
品種の発展: 秀忠の時代から多くの園芸書が出版され、短期間で非常に多くの品種が作られるほど、ツバキは園芸史上特筆すべき発展を遂げました。
「武士椿」としての品種
「かぎけん花図鑑」では、Camellia japonica cv. mononofu-tsubaki（モノノフツバキ）という品種名も確認でき、赤色の花が咲く常緑小高木として紹介されています。
このように、「椿武士」は単なる名前ではなく、ツバキの独特な散り方と、武家社会の歴史的背景が結びついた言葉なのです。