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あこ

あこ

『殺戮のチェスゲーム』(上)(中)(下)
ダン・シモンズ/著
ハヤカワ文庫

他人の思考と行動を操る「マインド・ヴァンパイア」達。
彼らの中に善人は皆無だ。
異常な嗜好により、戦時中の大量虐殺、収容所の悲劇、暗殺、サイコパスな猟奇殺人などに直接関わっている。

「マインド・ヴァンパイア」は普通の人の仮面を被っている。
彼らに目をつけられたら最期、必ず「死」が待っている。
この大いなる悪に立ち向かう主人公は、老いた精神科医ソール・ラスキ。
彼は強制収容所の生き残りだ。
そこで、『殺戮のチェスゲーム』の駒にされたが、逃げおおせた過去がある。

上中下巻を合計すると、1600ページを超える大作だが、ダンシモンズのストーリーテリングは見事で、最後まで飽きずに読んでいくことが出来る。モダンホラーとしても非常に良く出来ている。

精神/身体を支配するヴァンパイア達に対抗する手段は無く、ターゲットは朦朧とした意識のまま操られる。本作が言い様のない恐怖感を与えてくるのは、この「無力感」にある。
では、人間はマインド・ヴァンパイアのなされるがままの運命にあるのか。抗う者はいないのか。
ソール・ラスキ。彼には何一つ特殊能力はない。武器はただひとつ。理不尽な死をもたらす悪への煮え滾る怒りのみだ。

マインド・ヴァンパイア達は、年に一度孤島で人間を駒にして『殺戮のチェスゲーム』を開催する。ラスキはそこに潜り込み、彼らと対決していくーー。

ラスキはこれまでの闘いをサンプリングして研究を重ねていたが、結果的に非科学的ともいえる手段を用いて闘っていく。

地獄のような強制収容所を生き延びた者、数多の非業な死を眼にした者にしか為し得ない最終的対決の仕方。
そして、余りにも感動的なクライマックスに心を揺り動かされた。
終始希望を失わず、身を挺して闘う老いたヒーロー。
その姿を描きたいがために、シモンズは長大な物語を著したのだろう。
夢中で読んだ。
GRAVITY8
GRAVITY82

コメント

本子📚

本子📚

1 GRAVITY

読んでみます[星]

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あこ
あこ
ぜひ読んでみてくださいね[おねがい]
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ようじ

ようじ

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すてき

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あこ
あこ
教えてくれてありがとう[おねがい] とても面白かったよ[ほっとする]
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きゅてれいあ

きゅてれいあ

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飾って置きたい! かなりの大作て読了までの集中力が…と思いましたが、レビューの勢いで分かりました[目がハート] 読み出すと止まらなくなりそうですね! あこさんがワクワクしながら読み進めた様子が見えます[目がハート]

返信
あこ
あこ
ありがとうございます[大笑い] ストーリーテリングの上手さで、全然飽きずに楽しんで読めました[笑う]
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秋茄子🍆冬休み

秋茄子🍆冬休み

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あこさん、レビューうますぎる!! これが言語化能力なのか[目がハート]

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