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珠雅(しゅが)
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雪が降る夜だった。
冷たい風が、まるで氷の刃のように肌を切る。その時ふと思った。「こんな寒さで死んだら、幽霊になって暖房の神でも呪ってやる」——そんな冗談を呟いた瞬間、世界はぱきん、と音を立てて凍った。
目を開けると、そこは雪よりも白い大地。天も地も、吐息さえも光るような世界。見上げれば二つの月、右は青く左は紅く、互いを見下ろすように並んでいた。どうやら冗談は現実になったらしい。
「やっぱり死んだか……。」
そう思った瞬間、手が半透明なのに気づく。指の先には薄青い霜が光っていた。それはただの冷たさではなく、霊の炎——“凍魂(とうこん)”と呼ばれるものだった。どうやらこの世界では、寒さで死んだ者は氷霊として蘇るらしい。なんという皮肉だ。
けれど驚くことに、この異世界には“冬を操る者”がいた。雪嶺の都〈ユールカトラ〉を統べる氷の女王だ。彼女は千年に一度、最も寒さに耐え切れず命を落とした者を“氷の守人(モリア)”として召喚するという。そして今、その座が自分に下ったらしい。まったくもって不本意である。
「寒くて死んだのに、さらに寒い世界に送られるって何の拷問だ!?」
だが、この世界の法則は妙だった。凍魂として在る者は、寒さを喰らうことで力を得る。凍てついた吹雪の中心では、逆に身体がぬくもるのだ。そうして少しずつ、自分は“寒さに抗う存在”から“寒さを支配する存在”へと変わっていった。
やがて氷の女王が現れた。彼女は冷たい瞳で微笑みながら言う。
「お前、憎しみでここまで来たのか?」
「いや、単に寒かっただけだ。」
その返答に、女王は静かに笑った。氷の世界に、初めて暖かい響きが生まれた瞬間だった。
その日を境に、吹雪が止まった。世界は静けさを取り戻し、人々は祈るように空を見上げた。彼らの冬は、もう苦痛ではなく“祝福”に変わったという。
だから約束しよう。
もしまたこの世が寒さに凍えたら——その時はもう一度、化けて出てやる。
あの冗談の続きを、本気で叶えるために。
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【完】

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