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アクア−Devil

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むかしむかし、深い緑の森の奥に、小さなウサギの「もも」が住んでいました。
ももは耳がちょっと短くて、みんなみたいにぴょんぴょん高く跳べませんでした。でも、ももには特別な才能がありました。それは、どんなお花のにおいも、ぴたりと当てられる「かぎたしかな鼻」だったのです。

ある朝、森じゅうのお花が一斉に泣きはじめました。
「においが……なくなっちゃった……!」
バラもスミレもひまわりも、みんな香りを失って、しょんぼりうなだれています。

森の動物たちは大騒ぎ。
「どうしよう、春が来ても誰もお花を見に来てくれないよ!」
キツネもクマもリスも、みんな困り顔。

そこへももがやってきました。
「だれか、私の鼻、貸してあげようか?」

みんなは半信半疑。
「短い耳のウサギに、できるの……?」

ももはにっこり笑って、ぴょん、と一歩前に出ました。
そして、ふわっと深呼吸。
「……あ、ここだ!」

ももが指さしたのは、森のいちばん高い木のてっぺん。
そこに、小さな宝石みたいな瓶がひっかかっていました。中には、虹色に光る「においの粒」がぎゅっと詰まっているのです。

それは、いたずら好きの風の妖精が、みんなの香りをこっそり集めて隠してしまったのでした。

でも、木は高すぎて、だれも登れません。
キリンさんも来てくれましたけど、首が長すぎて枝がじゃま。
サルさんも挑戦したけど、瓶が小さすぎて指が届かない。

ももはちょっと考えました。
そして、ぽん、と手を叩きました。

「みんな、力を貸して!」

みんなで大きな大きなトランポリンを作りました。
葉っぱとツタとクモの糸で、ふわふわのジャンプ台。

ももは耳をぴんと立てて(短いけどがんばって)、
「えいっ!」

ぴょーん!!

いつもよりずっと高く、ももは跳びました。
空をくるっと一回転して、瓶をぱっとキャッチ!

瓶のふたを開けると……
シュワーッ!
虹色のにおいの粒が、きらきらと舞い上がり、
森じゅうのお花にふわりふわりと戻っていきました。

バラは甘く、スミレはさわやかに、ひまわりは元気いっぱいに香りだしました。

動物たちは大喜び。
「もも、すごい!」「ありがとう!」「やっぱり短い耳だって最高だ!」

風の妖精も、木の枝からこっそり顔を出して、
「ごめんね……もういたずらしないよ」
と恥ずかしそうに謝りました。

その夜、森はお花の香りでいっぱい。
みんなで大きなお月見団子パーティーをしました。
ももは、いちばん高い場所に座って、
みんながくれるお団子を、ほっぺたいっぱいにほおばりました。

そして、ももは思いました。
「できないことなんて、ないんだ。
 みんなと一緒なら、どんな高い木だって届くよ。」

おしまい。

お花の香りが、ふわっとあなたのところにも届きますように。
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