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アクア−Devil

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🌟長編絵本物語

『ひまわりウサギと風の手紙 ―友情と冒険の森―』

ひまわりの丘は、季節ごとに色を変える魔法の場所でした。春には柔らかい黄色い花の間で小さな妖精が昼寝をし、夏には風が花を揺らして丘を生き生きと踊らせ、秋には葉が金色の雨のように降り、冬には雪が静かに丘を包みました。

その丘のふもとに、小さなウサギのリールが住んでいました。リールは誰よりも元気で、毎朝、太陽が昇る前から丘を駆け回り、風よりも速く走ることが大好きでした。「ぼくは風より速くなるんだ!」と胸を張って、丘を駆け下りるたび、全身で自由を感じていました。

しかし、速さに夢中になりすぎて、リールは足元や周囲を見落とすことが多く、たびたび転ぶこともありました。ある日も、リールは石につまずき、ひまわりの葉の上にころりと転がってしまいました。痛みに顔をしかめるリールの前に、森の賢者であるフクロウのフーが羽音もなく降りてきました。

「リール、大丈夫かい?」フーは優しく尋ねました。「でもね……君は速さを追いかけるあまり、足元を忘れている。前を見るのも大事だけど、周りを見て気をつけることも強さのひとつなんだ。」

その言葉を聞いたリールは、胸の中がチクンと痛みました。反発心がわき上がると同時に、フーの言葉には真心が込められていることに、まだ気づけませんでした。その夜、ひまわり畑の丘でひとり空を見上げたリールは、風のささやきに耳を澄ませました。

――フーはぼくを守ろうとしてくれたんだ……

翌朝、リールは勇気を出してフーに会いに行きました。「フー、昨日はごめん。そしてありがとう。あなたの言葉、今ならちゃんと受け取れる気がするよ。」フーの大きな目がやさしく細まり、羽をゆっくり広げました。「忠告はね、勇気を出して渡す小さな宝物なんだよ。それを受け取れる心を持つ君は、もう立派な冒険者だ。」

その日からリールは、走る前に一呼吸おき、周りを観察することを習慣にしました。すると、風の音、葉のそよぎ、小さな虫の足音まで、世界のすべてが鮮やかに見えるようになりました。そして、フーと一緒に森の奥へ冒険に出かけることにしました。

森は丘とはまったく違う景色でした。木々は背が高く、日差しは葉の間から差し込み、地面には小さなきのこや光る苔が並んでいます。リールは駆け出したくなりましたが、フーは声をかけました。「リール、まずはゆっくり観察してみよう。」リールは立ち止まり、周りを注意深く見ると、小さなモグラの赤ちゃんが巣穴で眠っているのを見つけました。リールはそっと後ずさり、踏まないように気をつけました。

「君の気づきが、命を守るんだね」とフーは微笑みました。リールは、自分が受けた忠告の意味を少しずつ理解し始めました。注意や助言は、ただ言葉として聞くのではなく、行動に変えることで初めて意味を持つ――それが宝物だということを。

森を進むうちに、二人は小さな川にたどり着きました。水面は鏡のようで、リールの顔とフーの影が映っています。「フー、この川の向こうには何があるんだろう?」リールが問いかけると、フーは首をかしげながら答えました。「まだ見たことのないものがたくさんあるんだろうね。でも焦らず、一歩ずつ進もう。」

二人は川のそばで休み、森の音に耳を澄ませました。小鳥が枝でさえずり、風が葉を揺らし、リールは深呼吸をしました。「ゆっくり観察すると、世界ってこんなに美しかったんだな。」フーはうなずきました。「速さや力だけが強さじゃない。心で感じること、注意深く生きることも、強さのひとつなんだよ。」

リールは空を見上げ、遠くの丘に揺れるひまわりを思い浮かべました。昨日の転倒も、フーの忠告も、森の小さな命たちも、すべてが自分の宝物になったことを実感しました。そして、素直な心で受け取った忠告が、自分を強くし、未来を明るく照らす光になっていることに気づきました。

その日から、リールとフーの森の冒険は続きました。小さな滝を見つけたり、夜空にきらめく星を数えたり、森の仲間たちと出会ったり。リールは毎日、忠告をくれる友の存在に感謝し、素直な心で世界を感じながら、少しずつ成長していきました。

丘に吹く風も、森のさざめきも、リールの心には光となって映りました。
こうして、ひまわりウサギのリールは、忠告と感謝を胸に、新しい冒険の一歩を踏み出すのです――友情と成長の物語は、まだまだ続いていくのでした。


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