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天文台
青年は少なくとも自分の気持ちを彼女に伝えたいと思って、彼女に宛てて恋文を書いた。
青年は彼女のことが好きだったが、もしかすると彼女が好きだって気持ちと同じくらいかそれ以上に自分のことが好きだったのかもしれないし、恋に恋をしている時期は、そういうものであることが多いのかもしれない。
青年は彼女に恋文を出した。
青年は知るはずもなかったが、彼女も思いを寄せる人がいて、彼女の恋は結ばれることなく解けた。
彼女は思う。
私の心はあの人のものだし、あの人のものであるべきだ。
だけれども私の心をあの人は受け取らなかったし、私の心はただぼんやりと私とあの人の間で浮かんでいる。
彼女の思いはぼんやりと行き場なくそこに浮かんでいて、本当はすごく痛いはずなのに痛みも伝わってこない。
ただ失われるだけで、私はただそれだけの存在で、あの人だけじゃなく私もそう思っている。
彼女はそう思うと何もかもが虚しくなって、彼女は自ら命を絶った。
青年は恋文を出したことを悔やんだ、同時に彼女が自分の為に命を絶つ選択をしたんじゃないかと考えて少し彼女の一部を手にしたように思った。
青年は自分が彼女の運命の人で自分は彼女の為に生まれてきて、彼女は自分の為に生まれてきたんだと思うようになった。
愛し合って共に生きるより、自分が原因で命を絶つ方がより繋がりが深いとも思った。
それは責任転嫁でただ自分の都合だけだったけれど、青年はそう思うしか仕方なかったんじゃないかとも思う。
青年は何時しか彼女は自分の為に命を絶って、自分の運命の人だったと思うようになった。
青年は孤立していった、青年のことを壊れたって多くの人がそう思った。
ある日青年に仙人と名乗る老人が会いに来た。
老人は言った。
「彼女をあの世から連れ戻したいなら、彼女をあの世から連れ戻す術を教えてやる。」
青年は仙人と名乗る老人に教えを乞うた。
「黄泉の国に行くには普通の服装ではダメだ、黄泉の国の空気に耐えれないしすぐに見つかってしまうから、私の用意した服を着れば大丈夫だ。」
「わかりました。」
青年は仙人に応えた。
「黄泉の国の最下層に行く。最下層では皆が助けを求めて手を差し出す。お前は彼女の手を選んで掴む、その手を引いて振り向くことなく、声を出すことなく、黄泉の国の出口までくれば彼女を黄泉の国から連れ出せる。」
青年は一も二もなく仙人の言葉に従うことを決めた。
仙人は青年に言った。
身体を清めてから明日の夜明け前に町外れの朽ちた祠に来るように言った。
青年は家に帰り身体を清めた。
青年は明日彼女に会えるのだと思うと嬉しかった。彼女のために黄泉の国に行く自分を彼女に見て欲しかった。
青年は夜明け前に町外れの祠に行って用意された服を着た。
青年がいつも着ているような服ではなくて、仕立ての良い上等な服で微かに香の匂いもした。
「夜と朝の混じる束の間、現世と黄泉の国も混じり合う、その時を逃さず黄泉の国に入れ。くれぐれも言うが、黄泉の国の最下層で差し出された手から彼女の手を選び、その手を引いて振り向くことなく、声を出すことなくここまで戻ってくるのだぞ。」
仙人は青年に言った。
青年は深呼吸をしてその束の間を待った。
夜と朝の混じる瞬間、現世と黄泉の国がつながった。
青年は一歩踏み出して黄泉の国に入った。
黄泉の国はただ闇だった。闇の中ゆるやかな坂道を青年は降る。
青年は彼女のことを思っていた。
「彼女は僕のために命を絶ったのだ、僕にとって彼女がかけがえのないものであるのと同じかそれ以上に、僕は彼女にとって大切な存在なんだ。」
青年の中ではそれが真実になっていた。
他の人には理解されなくとも、青年と彼女の間ではそれが真実だと思った。
彼女を黄泉の国から連れ出した後に、ちゃんと直接彼女に思いを伝えよう、彼女と共にお互いに思い合って、いつまでも幸せに暮らしていこう。
青年のゆく手に灯が見えた。
灯に照らされて無数の差し出された手が見える。
青年は差し出された無数の手の中に彼女の手を見つけた。
青年は彼女の手を掴み、彼女の手を引いて来た道を戻る。
「愛しい人、あなたは私を黄泉の国から救ってくれるために来てくれたのですね。」
彼女の声が聞こえた。
青年は安心した、自分はちゃんと彼女を選ぶことができたんだ、やはり僕と彼女は結ばれる運命だったんだ。
青年は嬉しかった。彼女の温かい手が彼女の思いを自分に伝えている気がした。
「私の思いはあなたに伝わっていて、あなたは私の思いを受け止めてくれたのですね。」
彼女は続けた。
青年は思いを伝えるように、つないだ彼女の手をギュッと握った。
彼女も応えるように青年の手をギュッっと握り返した。
青年は幸せだった。
彼女とお互いに思い合えたと感じて、自分は彼女のことを愛しているし、彼女も自分のことを愛してくれていると感じた。
「この服とこの香り、私がずっと思い続けてきたあなた、私はあなたを愛していました、私はあなただけを愛しています。」
彼女は言った。
青年は理解した。
青年が着ている服は彼女が命を絶つほど思い続けていた男の服で、彼女は今もその男をずっと思い続けている。
彼女が青年の手を強く握る。
彼女は愛しい人への愛を青年に伝え続ける。
青年は声を出さずに泣いていた。
青年は自分の思いは届かないのだと知った。
届かないのだと知っても青年は彼女の手を引き黄泉の国を戻った。
青年は彼女を黄泉の国から連れ出した後、彼女を振り返りもせずにその場から去った。
青年はもう生きていても仕方ないと思い、黄泉の国に戻ろうと思ったが、仙人はもう何処にもおらず、それから黄泉の国への入り口は開くことがなかった。
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