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骨の髄まで
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ガッツいちもつ
CTAPS LEVEL5
買っちった


ハーロック
男は自販機の前へ歩き、ボタンを押した
ガタン、と温かい飲み物が落ちる音
「ほれ」
差し出された缶を受け取ろうとして、指が止まった
また罪悪感が出る
「もらうな」「贅沢だ」「お前には早い」
黒い服の男が言う
「今出てるその声、誰の声に似とる?」
答えたくなかった
答えたら、当時の家の空気がよみがえるから
男は畳みかけない
短く言った
「ラベル貼れ、心ん中でええ」
自分は、胸の中だけで言った
(……これは親のルールだ)
その瞬間、罪悪感が少し遠のいた
自分の声じゃない。昔の家の声
そう分けられただけで、呼吸が通った
黒い服の男が言った
「よし、ほな受け取れ
受け取って、世界が壊れへんことを体に覚えさせるんや」
自分は缶を受け取った
温かい
その温かさが、なぜか悔しい
「……俺、どれだけ我慢して生きてきたんだ」
黒い服の男は、淡々と言った
「我慢が悪いんちゃう
“我慢しか許されへんかった”のが歪みや」
自分は缶を開けて、一口飲んだ
甘い、温かい
胸の奥がじわっとほどけて、目が熱くなる
「俺、同級生に見られるのが怖かった
貧乏が恥ずかしかった」
黒い服の男は、そこだけ強い声で言った
「恥は“貧乏”ちゃう
恥を子どもに背負わせる仕組みや
そっちが恥や」
涙が出た
怒りの涙
悔しさの涙
でも、温かい涙だった
自分の味方が、やっと現れた気がした
黒い服の男が、最後に鍵みたいな言葉を置いた
「整理のつけ方、簡単や
罪悪感が来たら、これだけ言え」
男は夜空を指した
星が小さく瞬いている
「それは俺の責任じゃない
割り当てられただけだ」
「この一言は、過去を責めるためやない
自分を罰するのをやめるための鍵や」
自分は頷いた
缶を握る手が、少し軽くなった
帰り道、レシートがポケットの中でくしゃっと鳴った
自分はそれを取り出して、裏に小さく書いた
「これは贅沢じゃない、生活の燃料」
ダサい
でも、胸の奥が温かかった
家に着く少し前、昔の夜道が重なった
旅館の残業、最終バスが行った後
トボトボ歩いた時の眠気、無表情
給料袋を見たことがない手
その手で今、自分は温かい缶を握っている
受け取っている
罰せずに
玄関の前で、誰にも聞こえない声で言った
「……今日の自分、よくやった
もう罰は終わりだ」
振り返ると、黒い服の男はいなかった
でも夜は、前より少しだけ優しかった
#希望 #自作小説


ハーロック
深夜のコンビニは、昔の旅館の厨房みたいに白かった
蛍光灯の光は優しいようで冷たい
外へ出ると、冬の空気が頬を刺した
手には、缶コーヒー
たった数百円だ
それなのに胸の奥がきゅっと縮んで、「贅沢だ」「罪だ」と誰かが囁く
もう大人だ
働いている
財布だって、自分で管理している
それでも罪悪感だけは、夜になると勝手に戻ってくる
「……なんで金を使うだけで、こんな気分になるんだろう」
白い息が、言葉を薄くして消えた
「自分、それ“金の問題”ちゃうで」
背後から低い声が落ちた
振り向くと、黒い服の男が立っていた
どこからともなく現れる、いつもの男
「……分かってるなら、もっと早く来てくれよ」
黒い服の男は笑わず、コンビニ袋を指して言った
「自分、今買ったのはコーヒーや
でも心が買わされたのは“昔のルール”やろ」
胸が詰まった
図星だった
ご飯も、服も、家賃も、全部お金がかかる
だから働くのは当然
お金をもらうのは贅沢
贅沢は罪
「俺は中学の時、旅館で皿洗いのアルバイトをしてた」
一拍おいて、続けた
「……給料袋は、見たことがない」
自分の声は、思っていたより落ち着いていた
落ち着いているのに、奥が痛い
黒い服の男は即答した
「せやろな
その頃の自分は“子ども”やのうて“家計の部品”にされとったんや」
部品
その言葉が、胸の奥の形にならなかったものに名前を付けた
怒りが湧く前に、涙が出そうになって
あわてて飲み込んだ
「でも、生活には金がいるだろ
働くのは当然だ」
黒い服の男は、少しだけ声を低くした
「生活費がかかるんは事実や
でもな、その責任を子どもに背負わせるのは、大人の仕事放棄や」
言い返そうとして、言葉が出なかった
「疑問を持つな」という空気の中で育つと、反論は喉の奥で固まる
黒い服の男は続ける
「自分が“金もろたら罪”って思ったんは、優しいからや
迷惑かけたない、家を荒らしたない
そやろ?」
図星だった
自分は、家の空気を壊したくなかった
だから、罪を引き受けた
「でもな、その優しさが曲がると、今みたいに“自分を罰する癖”になるんや」
自分は、乾いた笑いを漏らした
「罰って……缶コーヒー飲むだけで、俺が悪いみたいになるの、本当に馬鹿らしいな」
黒い服の男は、そこで少しだけ口角を上げた
「そうや、馬鹿らしい
気づけた時点で、もう半分終わりや」
「残り半分は“卒業”や
今夜やるで」
#希望 #自作小説

みの
ありがたい[照れる]
体も回復してきたけれど、お花みていると気分良くなるな🌹
感謝感謝💕

きんう
実家の屋上の出入り口の床が見るも無惨だったので床と壁紙を一部リフォームした。ずっとやりたかったので手が入れられてやっとスッキリした。
①②前③④後
カゴは🧺猫の巣です🪹




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