ん！？粉末スープが甘いニオイ。違和感しかない。でもイ、イヤじゃない。全部食べられた(笑)

こんばんは宇宙。
ふらっと旅には大事なポイントがある、と思っている。予定していたものが見れなくても、自分を責めないこと。もったいなかったと思うのではなく、次回またご縁があると思うこと。

前日の疲れで遅く起きたので、河津桜は駐車場を探しているうちに閉園になってしまったけれど、道中実家を思わせる住居で享保雛と吊るし飾りが公開してあった。地元の婦人会の方々が主催しているそうだ。

吊るし飾りは今年の作品だそうで、享保と令和のコラボレーション、とあった。イグアナのお雛様は、ふっくらと上品な顔をして、おっとりと微笑んでいたなと、思いだした。もう一度イグアナのためにお役目お願いします、と祈る。妹のは立ち雛だ。活発な妹らしい、お雛様だった。妹のお雛様も引き続きお役目よろしくお願いします、と、甘酒を飲んで囲炉裏に当たりながら祈った。祈りながら、ヤマメとか炙ったら美味しそうだけど、煙と匂いがすごいだろうなとも考えたから、お雛様は怒るかもしれない。きっと一生懸命イグアナ達の見えないところで勤めてくださっているのだ。

縮緬の端切れが販売されていたので、えんじと赤色の扇模様を手に取った。紫と黄色も。ゴムで縛った２つで350円とあった。縮緬の価値はわからないけれど、大きさがあれを作るのにちょうどいい、と思っていたら、婦人会のご婦人に声をかけられた。

何を作るの？の問いに、戸惑いながら、お恥ずかしいんですけど…猫の首輪です。と答えた。柄の方で首輪を、えんじの方で椿の花を作ったら可愛くなるかな、と。

すごいわね、とご婦人は目を丸くした。あなたの頭の中には、想像もつかないアイディアがあるのね、と。そうなんですよ、彼女すごいんです、と運転手を務めてくれた友が答えた。ねえねえ、猫の首輪を作るんですって、とご婦人はレジにいた別のご婦人に声をかけた。

猫にはもったいないわよ、とレジのご婦人は答えた。そうだ、そう言われるものかと思っていた。そう、言われ慣れていた。でも傷ついていた、心のどこかでは。

しっかりした旦那様ね、と最初のご婦人は友に向かって言った。あ、そうじゃないんです、と慌ててイグアナは答えた。あらそうなの、でも大事なことは、どれだけ相手を信じられるかよ。年齢や容姿は関係ないの。来年は、ぴかぴかの指輪を見せにきてちょうだい。頑張ってね。

背中を春風に押されたようだった。