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ひより

ひより

かなり激しく降ってきてしまった。
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帰るしかない。
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ツーショットは撮れなかったが、今回は諦めよう。
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雨が少し弱くなった。
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「今のうちに帰ろっか」
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正樹がそう言って歩き出した瞬間、雨でぬかるんだ土を踏んでバランスを崩した。
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助けようと、とっさに正樹に手を差し出したが、私も滑ってしまい2人して泥だらけの地面の上にダイブした。
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豪快に転んだ私たちは当然全身泥だらけになった。
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髪の毛も顔面も、洋服だって何色を着ていたか分からないくらいに泥まみれだ。
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「正樹、顔もう誰かわかんないよ!
え、あなた誰ですか?!笑」
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「いやそっちこそ!どなたですか?笑」
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お互いを見合って爆笑した。
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テンションが上がって、海で水をかけ合うカップルのように、泥のかけ合いっこが始まった。
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優太とぶうを見ると、彼らは泥の被害を受けないように私達から離れた所に避難していた。
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子供たちの方が冷静だ。
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「今度こそ、帰ろっか」
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泥人間と化した大人2人と、優太とぶうが並んで家まで帰る。
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ツーショットが撮れなくたって幸せだった。
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後日、この日に撮った写真を現像し、印刷した写真を1枚ずつ見返していた。
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最後の1枚を見て私は急いで優太の部屋へ行った。
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「優太!この写真って、、」
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それは、私と正樹が泥だらけの顔で笑い合っている2人のツーショットだった。
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2人とも満面の笑みで写っている。
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「お父さんとお母さんが楽しそうだから、撮っておいた」
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優太、、
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「優太、、大好きー!!」と叫びながら抱きつく。
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我が子ながらファインプレーすぎである。
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その写真を写真たてに入れて、リビングに飾った。
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はあ、幸せだ。
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今日も幸せを実感した私であった。
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#撮れたツーショット
#シャイな正樹が好き
#小説が好き
#息子のファインプレー
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かなり激しく降ってきてしまった。