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ヤマアラシ
「心にいつもハリネズミ🦔」

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みずせ


ミルトン
帰れば必ず会いたくないやつと遭遇してしまうからだ。
茂原はそれくらい田舎なのだ。
墓参りに行けば、その近くに家があるSと出会ってしまうことになる。
「ようミルトン、久しぶりだな」
そう言ってSは近づいてくる。ニヤニヤ笑って。
「ミルトンはいま、何やってるんだ?」
僕が無職だと知っていて訊いて来るのだ。ニヤニヤ笑いながら。
僕は無視して自分の家の墓までいった。なぜかSもついて来た。
梅雨だったので、紫陽花がたくさん咲いていた。
紫陽花をいくつか取って、墓にそなえた。
「お前、働いた方がいいぞ?やってみたら楽しいもんだよ」
Sがそう言ったが、僕は無視した。
「ところでよ、俺、W子と付き合ってたじゃん、高校の時。そのW子が結婚したぞ」
とSは言った。
「え!お前W子と付き合ってたの?」
と僕はびっくりして訊いた。
「高校の頃な」
と言ってSはニヤニヤと笑った。
W子は小学校、中学校と一緒だった美少女だった。
W子と話すのは何よりも楽しく、小学校高学年の時は僕もW子が好きだったのだ。
そんないたいけな美少女を、Sは汚してしまったのだ。
正直な話、W子と付き合ったSが羨ましくてならなかった。
心の底からSが憎かった。
どうしてW子はこんなゲスい男と付き合ってしまったのだろう。
墓の前で、倒れてしまいそうだった。
「俺がW子と付き合ってたの、知らなかったのか?」
Sが言ったが、僕は無視した。
墓参りを終えて、僕は帰った。動揺していないように見えるように。
そんな僕にSはついて来た。こ ろしてやろうかと思った。
思えば僕の高校時代は惨めなものだった。精神的に参ってしまい、精神科に通った。
そんな中SはW子と付き合って楽しんでいたのだと思うとさ つ意が湧く。
「じゃあな、ミルトン」
と僕の実家の前までついて来て、Sは去って行った。ニヤニヤしながら。
僕はすぐに実家の自分の部屋に入り、小学校、中学校の卒業アルバムを取り出した。
そこに写っているW子の顔を見た。微笑んでいて、とても可愛かった。
僕は卒業アルバムをビリビリに破き、ゴミ袋に捨ててしまった。
僕は泣いていた。
こうするしかなかったのだ。

YAKA
#静かなお絵描き
#たそがれ猫

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