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CECIL(聖流)

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◆銀座Hexagone通信◆
12/31(水)晴
◻️本日の営業時間
定休日

ザ・ラストワード
本日は『除夜』です。
除夜は”大晦日の夜”を指す言葉で、年越しそばを食し、除夜の鐘を聞きながら一年の神様である”歳神様”を迎える為に朝まで眠らずに過ごす日本の習慣です。
レシピや詳細はInstagramで。

本年も投稿にお付き合いいただき有難うございました。
良いお年をお迎え下さい。

#銀座
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#除夜
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。リリイ 。

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大晦日だ早過ぎな
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ポテト🍟

ポテト🍟

世間が大晦日、大晦日って騒いでるのが
どうも好きになれない
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ムサシ

ムサシ

「Re:」
懐かしい文字
平成キラーの言葉
この文字がドンドン増えていく楽しさがそこにあった
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♬*キキ*♬

♬*キキ*♬

2次会なう

#プチ同窓会
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ろっきち

ろっきち

大晦日のランチも1人だったので、大好きなゴーヤチャンプルと沖縄そばで締めくくりました♪
沖縄そば沁みます[照れる]
年越しはまたお蕎麦食べるけど!
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ゆうすけ

ゆうすけ

どんな種類の酒飲むの?どんな種類の酒飲むの?
カクテル、サワー
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やこ

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良いお年を( ᐛ )
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ハーロック

ハーロック

第二話 (全二話)


黒い服の男は、器をトントン叩く。

「ほな聞く。今それ言えてるのは誰や」

「……私」

「そうや。言えるってことは、壊れ切ってへん。
壊れ切ってへんのは、勝ちや。勝ちは“価値”でもある。……勝ち価値や」

「それ、ベタすぎる!」

「ベタで泣けるなら上等や」

男は真顔で続けた。

「今年がしんどかったやつはな、しんどかった分だけ“笑い”が効く。
笑いは薬や。副作用は……腹筋痛や」

「それはいい副作用ですね」

「せやろ。腹筋割れたら来年モテる。
……いや、モテるかは知らん。けど腹筋は裏切らん」



そのとき、鍋の前から子どもの叫び声が飛んだ。

「おじさん! ちくわぶが沈んでる! 助けて!」

黒い服の男が、真顔で走る。

「どけ! ワシが行く! ちくわぶは沈んだら“ちくわ沈”…ちゃう、沈むのが仕事や!」

標準語の青年がツッコむ。

「ちくわぶに仕事はない!」

黒い服の男は巨大なお玉で、沈んだちくわぶを救い上げる。

「沈んだやつほど味が染みる。人も同じや。
今年沈んだやつ、来年“しみじみ”うまなるで。……しみじみ、や」

「そこは上手い!」

「上手いのは出汁や。ワシは出汁の代理人や」

商店街が爆笑する。

そこへ青年部が慌てて駆け寄ってきた。標準語で言う。

「すみません! おでん、足りなくなりそうで!」

黒い服の男はうさぎ耳当てを直し、関西弁で言った。

「足りんのは普通や。足りんから人は工夫する。
ほな、追加の具、持ってくる。ワシの必殺技、“値引き交渉”や」

数分後、男は戻ってきた。
手には――割引シールだらけの袋。

商店街がざわつく。

「それ、どこから……?」

黒い服の男が真顔で言う。

「スーパーで“交渉”してきた。
閉店間際はな、店員さんも眠い。眠い時は心が優しい。
つまり、眠い=ねみい=値引きや」

「今のはベタで分かりやすい!」

「やろ。ベタは強い。ベタは正義や」

男は段ボールにマジックで書く。

『本日の福:出汁』
『本日の厄:空腹』
『本日の笑:ウインナー(運いいなー)』

見ていた人が標準語で言った。

「本当に、出汁で世の中を救おうとしてますね」

黒い服の男は、少しだけ声を落とした。

「世の中全部は救えん。
でもな、今夜ここにおるやつの“腹”と“心”くらいは、温められる」

その言葉だけは、ふざけてなかった。
だからこそ、周りが一瞬静かになって、次の瞬間、誰かが鼻をすする音がした。

黒い服の男はすぐに戻す。

「泣くな! 出汁が薄くなる!
泣くなら、たまご食え! たまごはな、“たま”に“ご”褒美で、たまごや!」

「もうめちゃくちゃ!」

「めちゃくちゃでもええ。年末は元々めちゃくちゃや!」



商店街のスピーカーからカウントダウンが始まった。

「十、九、八……」

人々が湯気の中で笑っている。
今年うまくいかなかった人も、しんどかった人も、今だけは同じ温度で息をしている。

最後尾の人が標準語で聞いた。

「具、選べます?」

黒い服の男が関西弁で答える。

「選べん。人生と一緒や」

「じゃあ大根で!」

「選べん言うたやろ!」

「じゃあたまご!」

「選べん言うたやろ!」

「……ウインナーは?」

黒い服の男は、誇らしげに頷いた。

「それは選べる。ワシの流派や。運いいなー、やからな」

全員が腹を抱えて笑った。
笑いながら、こっそり目をこすってる人もいる。
出汁の湯気のせいにして。

「三、二、一……!」

小さなクラッカーが鳴って、誰かが拍手して、誰かが「おめでとう」と言った。
派手な花火はなくても、ここにはちゃんと“始まり”があった。

黒い服の男は鍋の蓋を閉め、うさぎ耳当てを外して丁寧にポケットにしまった。
意外な几帳面さが、なんだか可笑しい。

標準語の女性が言った。

「あなた、変な人だけど……今日は助かりました」

黒い服の男は照れ隠しみたいに、少しだけ顎を上げた。

「変でええ。正月は“しょうがつ”やろ。
つまり、しょうがないこともある。
でも出汁飲んで笑えたら、だいたい勝ちや」

そして、最後に一言。

「みんな、ええ年を迎えてや」


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