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ずき
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あきお

ハーロック
エンジンオイルの匂いは、冬の空気に混ざると少しだけ甘く感じた
彼は整備工だった
朝から晩まで車の腹の下に潜って、手はいつも黒い
爪の奥に油が入り込んで、どれだけ洗っても完全には落ちない
仕事帰り、彼は決まって同じコンビニに寄る
理由は一つ
レジの向こうに、彼女がいるからだ
笑うと頬が少しだけ上がる
声が明るい
「温めますか?」の一言が、やけに胸に残る
好きだ、と言えるほどの関係じゃない
名前も知らない
でも、彼の一日はそのコンビニの灯りで区切られていた
クリスマスの日
工場はいつも通り忙しくて、彼は遅くまで残った
ツナギの袖をまくり、凍える手で工具を握った
帰り道、腹が減って、いつものコンビニへ向かった
自動ドアが開く
ベルが鳴る
温かい空気が、頬を撫でる
レジを見る
……いない
目が一瞬で冷えた
代わりに、知らない店員が立っている
年上の男、淡々とした声
彼はカフェオレを手に取った
いつもなら、彼女が「それ好きなんですね」と笑ってくれそうなものだ
でも今日はない
レジで会計を済ませて、外に出た瞬間
胸の中に嫌な想像が湧いた
――クリスマスだから、彼氏とデートだ
そう思ったら、何かが抜けた
怒りじゃない
嫉妬でもない
ただ、しょんぼりという言葉がぴったりの重さ
彼は近くの川の河原に降りて、ベンチもない石に腰を下ろした
カフェオレを開けて、一口飲む
ぬるい甘さが、逆に切なかった
夕暮れの空に、星がひとつ、またひとつと瞬き始める
「……俺、何してんだろ」
独り言は白い息になって消えた
ツナギの膝に付いた汚れが目に入って、彼は自嘲気味に笑った
こんな格好で、恋なんか無理だろ
油まみれの手で、誰かの心に触れるなんて
その時だった
「自分、まだ飲むな
せっかくの甘さが苦くなる」
背後から低い声が落ちた
振り返ると、黒い服の男が河原に立っていた
いつからいたのか分からない
でも、不思議と怖くなかった
寒さの中で、妙に現実味があった
「……誰ですか」
「ただの通りすがりや
で、自分
今日、レジにおらんかっただけで勝手に失恋してる顔しとるな」
彼はむっとした
#希望 #自作小説


すーぱーけいこ🐕 ͗ ͗
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霧宗

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#Bs2025

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╰( U ⩌ ω⩌)

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ちゃんと自分のものにして歌ってるのがすごい

もちも

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今日もいつも通り忙しかったんだけど
途中ちょっとトラブルが起きて
間に合わなくなりそうだったけど
周りの人に手伝ってもらって
なんとかなった…
とは言えくたびれたなあ
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