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ゆり
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おおゆき
あの人だってゲストではなく班のメンバーなのですから自分から仕事見つけることができたはずなんです
アクア−Devil
本名は悠斗。
いつも笑顔で、誰かが困っていれば自然と手が伸びるような、そんな人でした。
町の人たちは彼をこう呼ぶようになりました。
「福男が来ると、なんかいいこと起きるんよなあ」
でも、悠斗自身は自分のことがよくわかっていませんでした。
「愛されるって、どんな感じなんだろう」
心のどこかで、ずっとそんなことを考えていたのです。
ある冬の夕暮れ、港の端っこにある古いベンチに、ひとりの女の子が座っていました。
薄手のコートを着て、膝を抱えて震えています。
名前は凛。
都会から逃げるようにこの町に来たばかりで、行くあてもお金もほとんどなく、ただ海を見ていた。
悠斗はいつものように漁港を歩いていて、彼女を見つけました。
「…あの、寒くない?」
凛はびっくりした顔で振り向きました。
知らない男の人に声をかけられることに、少し警戒しながらも、
「……ちょっとだけ」と小さな声で答えました。
悠斗は自分のマフラーをするするとほどいて、そっと凛の首に巻いてやりました。
「これ、母ちゃんが編んでくれたやつなんだけど、めっちゃ暖かいよ」
凛は少し戸惑いながらも、温もりに触れて、涙がぽろっとこぼれました。
「……ありがとう。こんな優しくされたの、久しぶりで」
それから二人は、ほとんど毎日、港のベンチで会うようになりました。
言葉は多くなかった。
ただ一緒に海を見たり、コンビニのホットコーヒーを分け合ったり、
時々、凛がぽつりぽつりと自分のことを話したり。
ある夜、凛が言いました。
「悠斗くんって、なんでそんなに優しいの?
私、何も返せないのに」
悠斗は少し照れながら、空を見上げて答えました。
「俺、ずっとわからなかったんだ。
愛ってなんだろうって。
でもさ、凛がここにいてくれるだけで、
なんか……胸の奥が安心するんだよね。
それって、多分愛なんだと思う」
凛は目を丸くして、それからゆっくり笑いました。
初めて見る、柔らかくて、少し泣きそうな笑顔。
「私も……悠斗くんが隣にいてくれると、
世界がそんなに怖くなくなっちゃう」
その夜、二人はベンチで肩を寄せ合って、
冷たい海風に吹かれながら、長いこと黙っていました。
言葉はいらないくらい、
互いの存在が、ただそこにあるだけで、
愛と安心を静かに満たしていく。
町の人たちは今でも言うんです。
「福男のそばにいると、なんかいいこと起きるんよなあ」
でも本当は、
福男が一番幸せを分けてもらっていたのかもしれません。
だって彼は、初めて
「自分は誰かに必要とされている」と
心の底から感じられたから。
おしまい。


あくび
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