共感で繋がるSNS
GRAVITY(グラビティ) SNS

投稿

サク

サク

黒い煙で薄汚れた曇天の街は、それでも人で溢れかえっていた。
綺麗なコートを煤けさせながら、せかせかと駅へ向かう人々を眺め、私はただ街灯にもたれ掛かるようにして立っている。
これが私の日課だ。
移り行く人の波を瞳に映しても、自分の人生は何も動かない。
私には行き先もない、この街から出ることもないし、駅に行くことも、ましてや列車に乗ることもない。
毎日毎日、ただどこかへ向かっていく男や、女や、子供や老人を見ている。
とても無意味な時間だが、本当は意味のある時間だ。
こうして人々を眺めていると、鬱屈としていた気持ちが次第にぼんやりとした解脱感に変わり始める。
そうすると、私は漸く家へ帰ろうという気になれる。私の行きたい先ではない、行き先へ向かおうという気持ちになれるのだ。
GRAVITY
GRAVITY2
関連する投稿をみつける
話題の投稿をみつける
関連検索ワード

黒い煙で薄汚れた曇天の街は、それでも人で溢れかえっていた。