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太郎

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ロザリオの村
 
馬具を外されてその馬は青ざめた。ロザリオが馬の口元に秣と水を持っていってもまるで拒むかのようにそれを飲み食らうことはなかった。子供たちがいつものように村を走り回っていた。
 
うかれた若者たちが赤いスポーツカーでやって来てその村の井戸の水を飲み荒らした。そのあとロザリオが下ろした釣瓶が井戸の底で砕ける音がした。ロザリオたちは一冊の本と多くの衣類と残りの食料を馬車に担ぎ込んだがどこもかしこも昼は極暑、夜には雪が降った。
 
村に戻って来たロザリオの食卓に皿が一枚配られた。凍てついた生の最後の芋を暖炉の火で炙って食べたあとの苦い時間さえ止まった。沈黙の皿をまえにしてロザリオは窓の外を眺めた。ふぶきやむことのない灰色の雪が死の音楽になるまで時間は必要なかった。
 
 
参考 タル・ベーラ監督作品『ニーチェの馬』
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