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太郎

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季節のあとに来るもの
 
季節はなくなった。部屋の外には灼熱の嵐が吹き荒れた。色褪せた紺のシャツは一層その色を落とした。食べ荒らされた皿を毒で洗った。孤独なおれたちが行く場所は何処にもない。それでも一日のわずかな糧をうるために魂の荒廃した町に行かねばならなかった。
 
身のない骨ばった鶏を一羽、ポケットから取り出したコインで買った。熱湯に入れて羽根をむしりとりナイフで頸を切りその血を透明なガラスコップに絞った。そのあと腹を切りその贓物を黒く汚れたポリバケツに掻き出して腸詰にした。堅い痩せた身を火で炙った。脂が落ちるたびに青い火は音をたて青い焔をあげた。
 
皿を並べその細かく刻んだ肉をなるだけ均等に分ける必要があった。おれたちが生きるためにいくらかの毒をも食わなくてはならない。それでも食後には疲れ果てた身体に血が巡ってくるのを感じた。毒に犯されたおれたちの頭はそのまま信じることができなくなっていた。おれたちが愛と平和を唱えながら殺しあわないでいることは可能なのだろうか?
                    2019/08/03
                    2024/02/22
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