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灯坂ゆいら

灯坂ゆいら

1話「何でも良いから転生したいな〜」

さあて、転生するか!

ということで、転生させてください。お願いします。なんでもしますから。
こんな平凡な人生では俺は何物にもなれない。もっと過酷な環境で生まれてきたら、それなりに頑張って何かをなす人間になれていたと思うんだ。
なんてことを頭の中で考えながら、○○は残業2時間の労働から帰宅していた。

-本当かな~?

ああ。本当ですとも。多少グダってしまうかもしれないけど、きっと最終的には成功してみせますよ。

-そういう人に限って、「こんなのは聞いてない!理不尽だ!」とか言い出すんだよね~

俺はそういう人間ではないね。まぁ出来れば楽に生きたいとも思うけど...

-すごい自信だね!どうしてそう思うんだい?

だって小中高と学生時代は運動もある程度でき、成績も上位だったし、いい大学にも入った。おまけに有名な企業にも就職して親も喜んでる。でもこの程度の人間ともいえる。周りを見ればもっとすごい人間が大勢いる。この間なんて、会社の先輩に誘われてパーティに参加したら、有名な俳優やモデル、実業家がたくさんいたよ。そいつらにとって俺らは虫けら同然で話もできなかったけどね。確かにあいつらはすごい。でもそれは、すごい人間にならないといけない環境があったからだ。こんな俺でもハードな環境に置かれたらもっとすごい人間になれて当然だろう?

-随分と長く話したね。人は熱が入ると一度に話す分量が多くなるらしいよ?

うるさいな。というか、さっきから俺の頭に話しかけるあんたは何?

-うん?神様だよ?

はぁ。神?

-そう、神。今ちょうどね、人探しをしてたの。

人探し?なんの?

-とある世界の王子になってくれる人。この王子の魂がね~。ちょっとね~

急に胡散臭い話になったな。それでその王子になってくれる人は見つかったの?

-見つかったよ

誰?

-またまた~。話の流れ的に自分だと思っているくせに~

うるさい!からかわないでくれ。そんな話を関係ない人にするわけはないのだから俺がその王子になるってことだろ!

-ピンポーン!大当たり。

ああ。そうか。俺は転生できるのか...それは何というかワクワクするな。

-乗り気だね~そいつは良かった。じゃあさっそく送ろうか。

おお!いつでもいいぜ。それで俺は何をしたらいい?

-うん?何もしなくて大丈夫だよ?

え?どうして?

何てことを頭で考えていたら、目の前に車のヘッドランプが突然現れ、俺はひかれていた。

何て雑な転生方法だ!俺をひいてしまった運転手に申し訳ない。
しかし、まぁこれで非日常あふれる異世界の冒険の日々か!
ワクワクが止まらないな―――


―――「起きてください!王子!先ほど閃いたという妙案を早くお教えください!もう時間がないんです!」

「え?」

大きな声に目が覚めるとそこは見知らぬ景色だった。せっかくの異世界一発目のシーンなのだから、もっと感動的に起こしてほしかった。しかしこの目の前に広がるだだっ広い空間や、金の装飾の施された絨毯や、背丈の3倍くらいありそうな扉を見る限り、ここは城の玉座なのだろう。なんてことを考えていると、こちらを睨む目に気づいた。
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