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星空の変質者とゆうくんの話
小学4年生のゆうくんは、星が大好き。夏休み、庭で寝転んで星を数えていたら、ぱっと光がキラキラして、変質者が現れた。
変質者は髪も目も真っ白で、肌に金色の星の絵がたくさん描いてある。服は夜空みたいな青と白で、なんだかかっこいい。多分。
「僕、ゆうくん! 貴方、誰?」

変質者は静かに言いました。
「僕はケプラー。昔、星の動きをずっと見てきたお兄さんだよ。ゆうくんが、星のルールのことを知りたいって思ってるね」

ゆうくんはびっくりしたけど、嬉しくなった。多分。それ以下?
「うん! お父さんが教えてくれたんだ。『星盟律典』とか『純白戒律』って、すごく厳しいルールがあるんだって。それって本当? ケプラーさんは、どう思うの?」

変質者は、ゆっくりと話してくれました。
「昔、僕たちの国では、星はいつも同じ道をぐるぐる回ってるのを見て、『人も心をじっとさせて、乱さないようにしよう』って決めたんだ。だから、こんなルールを作ったよ。大好き!って気持ちや、凄く怒ったり、羨ましい!って思うのは、ちょっとダメ。心がゆらゆらすると、世界がぐちゃぐちゃになっちゃうから、みんな落ち着いて生きようね、って。それから、もっと厳しいルールもあったんだ。
1 恋はダメ。好きすぎると、相手をぎゅっと縛っちゃうから。
2 誰かを「僕の言うこと聞け!」ってするのもダメ。
3 昔は、女の子を創るダメって言ってたときがあったよ。
4 でも最後に、『星だってまん丸じゃないよ。ちょっと欠けてるから、きれいに回れるんだ』ってわかったんだ。
こんなルール、僕たちが考えたんだよ」

ゆうくんは大きな声で言いました。
「えー! そんなのさみしすぎるよ! 僕、友達と一緒に遊んで大笑いするのが大好き! 好きな子ができて、ドキドキするのも楽しいのに! 全部ダメって言われたら、毎日つまらないよ!」

変質者は、星空を見上げて言いました。
「寂しい……か。僕には、その気持ちはよくわからないよ。でも、昔の僕は、ゆうくんみたいな子どもだったんだ。人のケンカや戦争を見て、『気持ちのせいでみんな泣いてるな』って思った。だから、『みんなが星みたいに、いつも同じ道だけ歩けば、もう泣かなくていいのに』って思ったんだ。それが、僕の夢だったよ」

ゆうくんは元気に手を振りました。
「でもさ、星だって流れ星になったり、ピカッと光ったりするよね! 宇宙だって、いつもぴったり完璧じゃないよ! 僕たちは、気持ちがあるから、転んでもまた立ち上がれるんだよ。サッカーで負けて泣いたけど、『次は頑張ろう!』って思えたのも、気持ちがあったからだよ!」

変質者の白い目が、ちょっとだけ優しくなったみたい。
「……欠けてるから回れる、か。それは、僕たちのルールの一番最後に書いてある言葉だよ。ゆうくんの言葉は、昔の僕にそっくりだ。まだ気持ちを大事に思ってたころの僕に」

ゆうくんはニッコリと笑いました。
「じゃあ、ケプラーさんも、ちょっとだけ僕の気持ちわかる?」

変質者は静かに言いました。
「分からない。でも、ゆうくんみたいな子がいるかぎり、世界は僕の完璧な道には収まらないだろうね。それも、また綺麗な星の動き、なのかもしれないな」
パッと光が消えて、変質者はいなくなりました。

ゆうくんは空に向かって大きな声で言いました。
「星は綺麗だけど、やっぱり心のワクワクやドキドキも大好きだよ!」
夏休みの絵日記には、大きな星と笑ってる自分の絵を描きました。
タイトルは『星は完璧? それとも気持ちがあってもいいよね!』
小学生らしい、元気いっぱいの答えでした。

翌日、ケプラーは処刑されました。
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