アリストテレスはニコマコス倫理学の中で、人間の目的はよく生きる事で、その究極目的は幸福であると説いた。それに関連して、私達が持つべき卓越性を語り、倫理的卓越性と知性的卓越性を必要と語る。倫理的卓越性は道徳的に優れてる事、知性的卓越性は知力に優れてる事である。そして余り語られてないが、倫理的卓越性は知性的卓越性を前提としてると思う。なぜなら倫理的に優れるには、何が善で何が悪か実践する前に知らねばならないし、大きくその人の知性に依存する。しかし私達はこの書と異なる事実をよく目にする。即ち知的に優れた人達が悪行や道徳的不善を行う場合である。知者が不徳を行うケースは金や権力等に目がくらみ、悪行を積んだり、究極目的としての幸福に関心がない場合もあると思う。また、習慣として悪行をするようになった可能性もある。知的に優れないのに倫理的に優れた人は、倫理や道徳よりも、世間の習慣や良心に従ってるから正しく生きられるのだろう。もしくは特定の宗教の戒律に従ってる場合も考えられる。いずれにしても私達が目指すべきはよく生きること、幸福に違いない。