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てっちゃん2
つくづく審判員は大変な仕事だと思う。正確なジャッジが称賛されることはほとんどないが、ひとたびミスが起こればことさらに批判を浴びる。近年は、交流サイト(SNS)上で罵詈(ばり)雑言が並ぶ。重圧に耐えかね、職を離れた人もいると聞く。
2018年にプロ野球でリクエスト制度が導入されてから、7年がたつ。課題は多い。判定の根拠となる映像は中継局のカメラ頼み。現地の審判員が判定に携わるため、公平性にも疑問が残る。5月27日のヤクルト-中日戦(神宮)では、中日の川越誠司外野手の放った右翼ポール際の本塁打がファウルと判定。リプレー検証でも覆らず、中日が日本野球機構(NPB)に抗議の文書を提出するという出来事があった。
選手からすれば、1ヒット、1プレーが野球人生を左右しかねない。だからこそ、苦い判定は鮮明に記憶に残ってしまう。ヤクルトでプロ4年目を迎えた1986年4月4日の巨人戦(後楽園)。初めて開幕投手を務めた私は、1-1の八回にクロマティに決勝打を浴びた。その直前、追い込んでからの内角への際どい1球がボールと判定されていた。
寮に帰ってビデオを見返した。どうしたってストライクに見える。米大リーグのオールスター戦では今年、ストライクとボールを自動で判定するシステムが導入された。あの時代にあったらどうなっていたか。審判に〝救われた〟試合もあるはずなのに、思い出すのは苦い記憶ばかりだ。
西武の西口文也監督は現役時代、審判員の〝癖〟を逆手に取る投手だった。外角を広めに取る主審なら、外角への球の出し入れだけで余力を残して1試合を投げ切った。制球力があってこそなせる業だが、各審判員にどんな傾向があるかは、球団スコアラーの大事な確認事項の一つになっている。
大リーグのような機械化の波は、いずれ日本に来るかもしれない。それはそれで、味気ない気もする。1軍の試合前、若手審判員が「練習させてください」とブルペンによく来ていた。打撃終わり、急いでマウンドに向かう投手のため、ホームベースをハケであえてゆっくりと履いてくれたことも。ミスがあって当たり前とは言わないが、人間らしさが試合に深みを持たせるときもある。(野球解説者)
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